>>431 「力ずくで、または強引に別の当事者の施政権を奪い取ることはできない。どの国についても、
そうした先例を作ってはならないが、同盟国に関してはなおさらだ」と、ショフ氏は主張する。
中国による施政権の阻害を容認すれば、問題は東シナ海だけにとどまらない可能性がある。中国政府を
勢いづかせ、戦略的に極めて重要な南シナ海をはじめとする他の地域でも、他の米国の同盟国や
パートナーに対して同様の手段に打って出る可能性がある、と国防アナリストらは指摘する。
無党派のシンクタンク、米戦略国際問題研究所(CSIS)のシニアアドバイザー、クリストファー・
ジョンソン氏は、「これは先例となるものだ。東南アジア諸国は今回の事態を非常に注意深く見守っている」とし、
「同地域の同盟国に対する自らの決意について、米国がどのような合図を送るかが注目されている」と話す。
実際、ワシントンは日本に引き下がるよう圧力をかけてはいない、と米当局はひそかに主張している。
米当局は日本の新政府による紛争の対処の仕方を繰り返し称賛しており、ワシントンは日本政府から
要請を受けるたびに、同島しょは日米安保条約の適用対象であると表明している。
だが、そうした表明のあとには、ほぼ毎回、戦争は誰の利益にもならないという注意喚起が続く。
国防当局高官は「われわれの条約義務は重大だ」としながらも、「だが、平和と繁栄が大きなゴールだ」と述べた。
問題が生じている領域に送り込む航空機や艦船の数を両サイドが減らすことに同意することで事態を
沈静化するよう、双方に圧力をかけようというのが米国の戦略のようだ、とワシントンの国防アナリスト
は話す。米国は中国政府に偵察機の数を削減するよう静かにプレッシャーをかけており、
こうした外交的圧力は直近のアクシデントによって一段と増す公算が大きい。
オバマ政権をおおむね支持するシンクタンク、新米国安全保障センター(CNAS)のフェロー、
イーリー・ラトナー氏は「領有権争いの解決策はすぐには見つからないだろう」とし、
「米国がせいぜい期待できるのは、両サイドにここでアクシデントの可能性を減じさせることぐらいだ」と話す。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887324406204578287573856376506.html