福井県知事に腹が立つ そもそも福井に原発造ってくれと頼んだ覚えは無い(辛坊治郎) [06/13]
先週8日、野田総理が原発再稼働の方針を明言しました。
私はこの問題について、関西の首長らが主張する「新たな原子力監視組織が専門家としての結論を出すまでは
原則再稼働を認めず、今年の夏については、緊急避難として期間限定で大飯原発を動かす」というのは妥当な判断だと思います。
我が家は太陽光発電とコンセントの付いたハイブリッドカーの導入で停電でも困りませんが、
医療器具を使う「電力弱者」や中小企業にとって突然の停電は死活問題です。
冷夏で節電も頑張った昨年の関西のピーク時電力と、揚水発電を除いた関電の供給能力との間に
400万キロワット以上のギャップがあることを考えると、このタイミングで「数字が信用できない」とか、
「節電で乗り切れる」なんてことを口にするのは責任ある立場の人の取るべき態度ではありません。
その点で、原発を動かす判断を下した野田さんを私は評価しています。
問題は、関西の首長が求める期間限定の稼働を否定し、将来の脱原発に向けての志を放棄してしまった点です。
ただ現実問題として、稼働の許可権を握る福井県知事が「期間限定の稼働は認めない」と言っている以上、
福井県知事を説得するためには、ああ言わなくちゃならなかったのは確かでしょう。
もし秋まで野田政権が存続していたとして、総理が「6月に言ったことは、うそだぴょ〜ん。とりあえず夏が終わったから、
原子力規制委員会の判断待ちまで止めちゃうもんね」と言えばもっと褒めてあげます。
それにしても腹の立つのは福井県知事です。
そもそも関西だけがこれほどの電力不足に見舞われているのは、福井県が調子こいて原発をどんどん造り、
関電の原発比率が異様に高まっていたからです。我々一般消費者が、福井県に原発を造ってくれと頼んだ覚えはありませんし、
原発比率の少ない他の電力会社に比べて、関西の電気が安いという話も聞きません。
その上、福井市から遠く離れた京都・滋賀の境に原発を山ほど造って、自分だけが潤沢な補助金を受け取り、
しかも「立地自治体」として稼働の判断ができるなんておかしいでしょう。
私はこの際、福井県境の線引き見直しも含めて、日本の原発行政を徹底的に改める必要があると思います。
しかし、そうなると、「秘密のケンミンSHOW」(読売テレビ系)は困るかなあ。((株)大阪綜合研究所代表)
http://hochi.yomiuri.co.jp/osaka/column/shinbou/news/20120612-OHO1T00159.htm