[Weekly BIZ]ウォン安維持のために、サービス・建設業の回復が遅れている 【朝鮮日報 biz.chosun.com】
http://biz.chosun.com/site/data/html_dir/2011/09/02/2011090201227.html イム・デソプ ゴールドマンサックス資産運用共同代表
ウォンは円に対して60%低評価されているため輸出製造業は活況だが、内需回復が不振
金利引き上げされれば内需景気に悪影響及ぼす
2011年8月の始まりは、昨年8月と同じく暗鬱だった。米国を中心にした先進国の景気鈍化、ヨーロッパ地域の財政
危機、信用評価会社S&Pの米国信用等級下方修正…。投資家らの心理的恐怖は絶頂に達した。世界金融界の雰囲
気があまりにも悲観的なため、金融市場が開かれること自体が恐ろしいほどだった。
ウォン為替レートも動揺を見せた。今年2分期に入って1ドル1050ウォン台までウォン高が進んだ為替レートは、わずか
数日で1100ウォン水準まで値下がりした。輸出比率が高く為替レートに直接影響を受ける韓国企業は、今回の混乱が
長期的に韓国ウォン価値にどんな影響を及ぼすのか神経を尖らせている。
◆成長市場で資金流入再現されること
ウォンの動きは概して景気循環的なので、景気上昇局面では強気を見せて景気下降局面では劣勢を見せる傾向が
ある。最近先進国の景気展望が不透明になり、米国とヨーロッパの国家債務に対する不安が拡大して、資金が金や
債権など安全資産に集まっている。反面、今も代表的危険資産に分類される韓国などの成長経済圏株式市場では、
資金が流出した。その結果、ウォン為替レートは短期的に急騰した。しかし成長経済圏の基礎体力を考慮すると、この
ような資本流出現象は一時的な現象に近い。
デフレーションの脅威に対応して、米国をはじめとする先進国は積極的な量的緩和政策(中央銀行が債権を買い入れ
て資金を市中に出す措置)を実施してきた。これにより全世界にあふれ出た資金が成長市場へ集まっている。
こうした背景で見る時、短期的な変動はあるだろうが成長経済圏へ資金が流入する現象は、今後相当期間続く可能
性が高い。成長市場の経済成長の勢い、堅実なマクロ経済政策、金融開放、金融制度改善もこういう流れを後押しする
だろう。
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>>563 つづきです
ゴールドマンサックス証券の分析によれば、成長経済圏内でも韓国・ブラジル・中国・メキシコなどが、今後も資本
流入が多い国家に分類される。そのため、これらの国の通貨もやはり強気を見せる可能性が大きい。
◆韓国ウォン、ドル対比20%低評価
現在の主要貿易相手国通貨に対するウォン為替レートは、2007年12月と比較して日本円に対して60%、ドル対比20%、
そして人民元比で30%ほど低評価されている。ウォン為替切下げを管理するという政策的意志が、韓国ウォンの景気
循環的な動きを妨げたと分析される。最近2年間で970億ドル増えた韓国銀行の外貨準備高がその傍証だ。
ウォン安政策は、輸出中心の韓国製造業の活況として現れた。2010年韓国の非金融企業の純益は、名目GDP対比
8%と史上最高値を記録した。製造業が全GDPで占める比率は2011年2月末に28%に急増して、史上最高値を記録した。
しかし、為替レート政策を通じて輸出を補助していることで、韓国ではサービス業と建設業が相対的に景気回復の恩恵
を受けることができない不均衡現象が現れた。また、相対的に高い輸入物価は家計の購買力低下につながって、実質
所得の上昇を制限している。
今年1分期の韓国政府の立場を整理すれば、'為替レート現状維持政策を基本とする金利引き上げ'だった。この政策
は内需企業と家計を犠牲にする代わりに、輸出企業を支援する効果がある。
しかし、今後も'為替レート維持と金利引き上げ'という政策の組み合わせが有効なのか、時期適切かは色々な状況を
考慮しなければならない。輸出業を中心にする製造業の活況に比べて、サービス業と建設業に代表される内需の回復が
きわめて振るわない状況で金利を引き上げることは、全般的に内需景気に悪影響を及ぼすことになる。すでに消費者
期待心理は過去数ヶ月間の物価上昇の勢いに反応して弱まっている。我が国の家計が作った借金は、2010年可処分
所得比で140%に達していて、金利上昇に脆弱な状況だ。このような点を考慮すると、短期的に金利引き上げの政策的
有効性に対して悩むほかはない。
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