世界最深・釜石の防波堤、津波浸水6分遅らせる
東日本大震災の大津波で、世界一深い防波堤としてギネスブックにも認定されている
岩手県・釜石港の防波堤が破壊されたのは、コンクリートブロックのすきまに発生した強い水流で
基礎部分が削られたのが引き金になったことが、港湾空港技術研究所の分析で明らかになった。
ブロックの倒壊は徐々に進んだため、防波堤がない場合と比べると、
市街地への浸水を6分間遅らせる効果があったという。
2009年に完成した湾口防波堤は全長約2キロ。防波堤としては世界最深63メートルの海底に
基礎の石材が置かれ、その上に幅30メートルのブロックが並ぶ。ブロックは海面から約6メートル
出ており、高さ5・6メートルの津波から街を守るよう想定されていた。
同研究所では、沖合20キロの波浪計で観測した津波波形をもとにコンピューター解析し、
現地調査の結果とともに破壊過程を推定した。最初に到達した高さ10・8メートルの津波は、
防波堤の内側では高さ2・6メートルにとどまった。しかし、ブロック同士の間にある約30センチの
すきまに強い力で水が流れたため、基礎の石が削られ、最終的にはブロックの7割が倒壊した。
(2011年4月2日22時31分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110402-OYT1T00753.htm http://www.yomiuri.co.jp/photo/20110402-173905-1-L.jpg