韓国政府が在日韓国人の居住地域の土地購入、日本政府が住宅建設
韓国の外交通商部は1日、韓国政府が設立した「ウトロ財団法人」が京都府宇治市にあるウトロ地区の居住環境の改善を
目的に、ウトロ地区の土地1152坪を買い取ると発表した。韓国の主要メディアをはじめ、複数メディアが同話題を報じた。
ウトロ地区は在日コリアンの集住地域の1つで、京都府宇治市伊勢田町に位置する。第二次世界大戦中に、
京都飛行場と飛行機工場を建設するため動員された朝鮮人労働者1300人が宿泊していた。敗戦後に建設が中断され、
多くは朝鮮半島に戻ったが、残りの労働者が村を形成し住み始めた。
ウトロ地区の問題が注目を集め始めたのは89年。土地は数回の転売で87年に不動産会社の西日本殖産に引き渡り、
同会社は89年に住民の立ち退きを要求した。西日本殖産は京都地方裁判所に建物の土地の明け渡しを申し立てて勝訴、
ウトロ地区の土地は住民の不法占有と判断された。
韓国の市民団体や国会議員が2005年に実態調査に乗り出し、日本の市民団体「ウトロを守る会」とともに支援の輪を広げた。
韓国政府は09年に「ウトロ財団法人」を設立し、土地の買い取り支援や日本政府との協議を行った。ウトロ財団法人は07年、
日韓両国での募金活動で集めた資金をもとに土地833坪を買い取っており、今回買い取る土地を合わせると計1985坪が
ウトロ住民の居住環境改善に使用される。
韓国政府と民間で買い取った土地には、日本政府が公営住宅を建て、住民に貸し出す。ウトロ地区の土地は
全部で6400坪あまり、残りは日本政府が買い取って道路や公園、福祉医療施設、浸水防止工事などの整備を行うという。
韓国メディアは「不法占有状態で立ち退きの危機に陥っていた在日同胞の居住空間が確保された」、
「ウトロ住民たちの宿願を果たせる」などと伝えた。同国では「強制動員された在日同胞の問題」として取り上げているが、
当時動員された多くは強制徴用ではないことが判明しており、見解に大きな食い違いがある。(編集担当:金志秀)