ttp://news.www.infoseek.co.jp/politics/story/mainichi_20101001k0000m010098000c/ 首相、船長釈放「早く」…対中国、いら立つ官邸 (毎日新聞) [2010年10月1日2時34分]
◇パイプ細く、情報入らず
「早く釈放できないのか」。国連総会出席のため22日にニューヨークに出発するのを前に菅直人首相は首相官邸
スタッフに語った。民主党政権は中国指導部とのパイプが細く、情報が十分に入ってこない。中国側が威圧的な
対抗措置を次々と打ち出し、日中の緊張が高まるなか、首相は「何でもたついているんだ」「もっと機敏に対応でき
ないのか」といった態度をあらわにし、「いらいらして『イラ菅』の状態だった」(官邸筋)という。
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首相不在の首相官邸で「釈放」の調整に当たったのは仙谷由人官房長官だった。同じころ、ニューヨークでは前原
誠司外相が環境整備に動いた。強固な日米同盟を演出し、中国にプレッシャーをかけた。仙谷氏は民主党が野党
時代、台湾・民進党とのパイプを築いた「台湾派」で知られ、中国人船長の逮捕後も「中国とはいずれこうした問題
に直面する。日本は危機感が乏しいから、今回はいいテストケースだ」として「国内法に基づき粛々と対応」路線を
とっていた。しかし、中国が強硬姿勢をエスカレートさせ、姿勢を転換。釈放決定当日の24日も柳田稔法相と2回
にわたり協議したが、記者会見では「全くの別件」とけむに巻いた。
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事件を巡り日中関係がこじれた一因として、政府が中国側のメッセージを読み違えたとの指摘も出ている。事件直
後、中国側の対応は抑制されたものだったが、中国側が丹羽宇一郎駐中国大使を繰り返し呼んで抗議したのに対
し、日本側は立場を変えなかった。
12日未明には、外交を統括する副首相級の戴秉国・国務委員が丹羽氏に「情勢の判断を誤らないように賢明な政
治判断を求める」と求めた。未明の呼び出しに対する批判が日本で噴出した。「外相より高位の戴秉国・国務委員
が出てくることで中国側は解決を図ろうとしたのに日本が反発し戴氏はメンツをつぶされた」(外務省幹部)との見方
だ。中国側は態度を硬化させ、日本側は翻弄(ほんろう)された。
「要するに菅首相が慌て、仙谷氏が動いて失敗した。しかも、首相は『釈放』と言い残して米国に向かったのに、釈
放は司法判断だなんて国民に見え見えのうそをついた」と外務省幹部は首相や仙谷氏の対応を批判する。
「仙谷長官が辞めるという責任の取り方もあるかもしれない」。30日の衆院予算委員会で塩崎恭久元官房長官
(自民)からこう指摘されると、仙谷氏は閣僚席でうなずいた。【犬飼直幸、大貫智子】