D 安全区で捕らえた便衣兵は文民保護というハーグ条約の主旨に反しています。即決処刑は合法になりますか?
Ans.なりません。ハーグ陸戦条約のどこにも兵民分離違反について書かれた条文はありません。否定派が条
約の主旨をまるで条文の如く吹聴しているだけです。これは否定派のダブルスタンダードで、ある時は条文に書か
れていないから合法と言い、またある時は条文に無い条件を当てはめます。該当条文が無ければ、4条件違反
以外の違反行為はありません。但し国際慣習法としては問題があります。しかしゲリラ活動の為の潜伏ではない
ので、安全区に潜伏していたのを発見されたとしても、正当防衛としてその場で射殺しない限りは通常の戦時重
罪犯として対処しなければなりません。実際に安全区内で捕らえられた便衣兵について、ゲリラ活動を示唆する
記録はありません。捕らえられた便衣兵に関してはどの記録を見ても武器を携行していないのです。ゲリラ活動
の記録も若干はありますが、それらの記述では「便衣隊」「ゲリラ部隊」とされており、ここでいう便衣兵とは別の
存在です。(掃討戦時に物陰から射撃された記録はありますが、射撃した兵はその場で殺害されており、射撃し
た兵が便衣兵であったという記録はありません。掃討戦時に攻撃された例では兵を捕らえておらず、応戦してい
ます。また、不意に手榴弾を投げられ、拘束兵が逃走を図った記録もありますが城外の出来事です。これらは戦
闘の延長ですので敵兵の殺傷は合法となります。しかし安全区で捕らえた兵が抵抗したという記録はありません。)
軍装を放棄し、便衣でいる事自体が害敵手段という見解は、この件には当てはまりせん。害敵手段とは戦争の
目的を達成する為に敵に対して行う暴力的または策略的行為ならば、安全区に逃げ込んだ便衣兵は戦争目的
達成に何ら寄与する事はなく、武装も放棄しているのですから、件の便衣兵に当てはめるのは無理があります。
また、文民保護の観点でいえば、否定派は防守地域であれば軍民無差別攻撃して構わない、南京を占領下に
置くまでは城内で兵民問わず何人殺害しても合法と言いますが、この論法こそ文民保護を無視しています。安全
区で捕らえられようが安全区外で捕らえられようが便衣兵への対処はAns.Cの様に実施されなければなりません。
E 捕らえた便衣兵は裁判後、処刑されたのですか?
Ans.いいえ。裁判が行われた記録はありません。公式記録にないどころか、嘘を吐く事ができる証言でも裁判
に参加した者も見た者も居ません。南京戦に参加した兵の日記・メモ・手記の記述にも裁判に参加した者も見た
者も聞いた者も居ません。また、極東軍事裁判松井石根判決文に「このようにして、右のような捕虜三万人以上
が殺された。こうして虐殺されたところの、これらの捕虜について、裁判の真似事さえ行われなかった」とあります。
松井石根裁判での弁護側反証に以下の様なやりとりがあります。中山証人:安全地区内に一部の敗れた兵が
潜んでおりまして、しかも武器を持って潜んでおったのでありますから、これを探し出しまして、すなわち軍法会議
にかけて処断したという事はあるいはあったと思います。それを大袈裟に伝えられたものと思います。サトン検察
官:彼らが射殺される前に、軍法会議にまわされたのは幾人でありましたか。中山証人:数は覚えておりません。
この中山証人が本当の事を言っている保証はありませんし、実情を知っていたのか判りません。何れにしても
「あるいはあった」「覚えておりません」との証言から判るように推測で言っているだけです。そもそも城内で摘出さ
れ刺射殺された兵は6670人であり、数が合いません。その後の判決でこの主張は一切認められなかったのです。