【世界の】「南京大虐殺」は嘘【常識】110次資料

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16日出づる処の名無し
否定派によると「学説の裏付けのない主張はトンデモ論に過ぎない」そうです。←ここ大事。

さて、否定派がいくら無裁判処刑を合法化しようとしても、ハーグ陸戦条約の4条件違反者が敵対行為の
現行犯であった場合以外での無裁判処刑は違法です。学者・有識者の見解によると、便衣兵を捕らえた
場合はことごとく裁判が必須との事です。

『「南京事件」の探求』北村稔 立命館大学教授 歴史学者(中国近現代史) 2001年 P101
 筆者の見るところ、「ハーグ陸戦法規」の条文とこの条文適用に関する当時の法解釈に基づく限り、日本
 軍による手続きなしの大量処刑を正当化する十分な論理は構成しがたいと思われる。両者の論争は
 「虐殺派」優位のうちに展開している。

「板倉由明『本当はこうだった南京事件』推薦の言葉」原剛 軍事史研究家 軍事史学会副会長 1999年
 まぼろし派の人は、捕虜などを揚子江岸で銃殺もしくは銃剣で刺殺したのは、虐殺ではなく戦闘の延長と
 しての戦闘行為であり、軍服を脱ぎ民服に着替えて安全区などに潜んでいた「便衣兵」は、国際条約の
 「陸戦の法規慣例に関する規則」に違反しており、捕虜の資格はないゆえ処断してもよいと主張する。
 しかし、本来、捕虜ならば軍法会議で、捕虜でないとするならば軍律会議で処置を決定すべきもので
 あって、第一線の部隊が勝手に判断して処断すべきものではない。

『昭和史の論点』秦郁彦 歴史学者(日本近代史)・法学博士 2000年 P96,97
 南京事件の場合、日本軍にもちゃんと法務官がいたのに、裁判をやらないで、捕虜を大量処刑したのが
 いけないんです。捕虜のなかに便衣隊、つまり平服のゲリラがいたといいますが、どれが便衣隊かという
 判定をきちんとやっていません。これが日本側の最大のウイークポイントなんです。・・・捕虜の資格がある
 かないかはこの際関係ありません。その人間が、銃殺に値するかどうかを調べもせず、面倒臭いからせず
 にやってしまったのが問題なんです。

『現代歴史学と南京事件』吉田裕 一橋大学教授 歴史学者(日本近代史) 2006年 P70
 もちろん、正規軍の場合でもこの四条件の遵守が求められており、それに違反して行われる敵対行為は、国
 際法上の「戦時重罪」を構成する。しかし、そうした国際法違反の行為が仮にあったとしても、その処罰には
 軍事裁判の手続きが必要不可欠であり、南京事件の場合、軍事裁判の手続きをまったく省略したままで、正
 規軍兵士の集団処刑を強行した所に大きな問題がはらまれていた。以上が私の主張の中心的論点である。
17日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:15:06 ID:8fwGY/Nd
『戦時国際法論』立作太郎 国際法学者 日本評論社 1931年版
 凡そ戦時重罪人は、軍事裁判所又は其他の交戦国の任意に定むる裁判所に於て審間すべぎものである。
 然れども全然審問を行はずして処罰を為すことは、現時の国際慣習法規上禁ぜらるる所と認めねばならぬ。

「北支事変と陸戦法規」篠田治策 国際法学者 外交時報84巻通巻788号 1937年10月1日 P54,55
 軍律に規定すべき條項は其の地方の情況によりて必ずしも劃一なるを必要とせざるも、大凡を左の所爲あ
 りたるものは死刑に處するを原則とすべきである。(略)
 六、一定の軍服又は徽章を著せず、又は公然武器を執らずして我軍に抗敵する者(假令ば便衣隊の如き者)
 (略)而して此等の犯罪者を処罰するには必ず軍事裁判に附して其の判決に依らざるべからず。何となれぼ、
 殺伐なる戦地に於いては動もすれぼ人命を軽んじ、惹いて良民に冤罪を蒙らしむることあるが為めである。

「南京の支那兵処刑は不当か」東中野修道 亜細亜大学教授 政治・思想学者 『月曜評論』 2000年3月号P55
 その違反者は、「死刑に処するを原則とすべきである」(54頁)が、処刑の前に「必ず軍事裁判」(55頁)に
 かけるべきであると篠田博士も注意を促していた。
 これは当然であったろう。便衣隊の一人として狙撃などに従事するときは、囚われたときのことをあらかじめ
 考慮して、自分は便衣兵ではなくどこそこの市民であり、名前(偽名)、住所、家族関係は次の通りという言い
 分を用意していたであろう。そこで相手の弁明を査問して、事実関係を明確にしない限り、良民が菟罪に苦
 しむことになるから、「軍事裁判」ないしは「軍律会議」(昭和十二年十二月一日「中支那方面軍軍律審判規
 則」)の手続きは、氏も言うに、「不可欠」であった。
 しかしそれはあくまで安全地帯の支那兵が便衣兵であった場合の話であった。

おまけ
『世界戦争犯罪事典』秦郁彦、佐瀬昌盛、常石敬一 文藝春秋 2002年
 軍律会議は国際的に慣習化されており、日本も既に日清戦争の時からこれに類するものを設置していた。
 軍律会議は、軍の作戦地域などにおいて、軍司令官以上が作戦の遂行上公布した軍律に違反した日本人
 以外の人民を審判するため設置されるもので、(中略)当時は、中支那方面軍、上海派遣軍、第一〇軍に
 そ れぞれ軍律会議が置かれていた。したがって、便衣兵は捕虜の資格がないとするのであれば、軍律会
 議で 審判し処断すべきであり、第一線部隊が処断してよいものではない。
 しかし、軍法会議、軍律会議は、本来少人数の違反者を対象にしたもので、多数の捕虜集団や便衣兵の集
 団を裁判したり審判することを想定していないので、実際にはこれらの集団を裁判し審判することは能力的
 に不可能に近かった。だからといって、能力的に不可能だったから、第一線部隊の殺害が不法殺害ではな
 い、として許容されるものではない。
18日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:15:48 ID:8fwGY/Nd
佐藤説をもってしても敵拘束兵の無裁判処刑は違法です。

「南京事件と戦時国際法」佐藤和男 国際法学者 『正論』 2001年3月号 P314-315
  学説上では、助命を拒否できる若干の場合のあることが広く認められている。
 (略)
  第三は、軍事的必要の場合である。交戦国やその軍隊は、交戦法規を遵守すれば致命的な危険に
 さらされたり、敵国に勝利するという戦争目的を達成できないという状況に陥るのを避ける極度の必要が
 る例外的場合には、交戦法規遵守の義務から解放されるという戦数(戦時非常事由)論が、とりわけ
 ドイツの学者によって伝統的に強く主張されてきたが、その主張を実践面で採用した諸国のあることが
 知られている。
  この「軍事的必要」原則は、第二次世界大戦後の世界においてさえも完全には否認されていない。
 例えば、ミネソタ大学のG・フォングラーン教授は、無制限な軍事的必要主義は認めないものの、「必要」
 に関する誠実な信念や確実な証拠が存在する場合には、この原則の援用や適用を容認している。
  もっとも、同教授は、極度の緊急事態の不存在や、軍事的成功への寄与の欠如が明らかにされたなら
 ば、軍事的必要を根拠にした違法行為は、戦争犯罪を構成するものになると警告している。
 (略)
  ちなみに、オッペンハイムの前記著作第三板(一九二一年)は、「敵兵を捕獲した軍隊の安全が、捕虜
 の継続的存在により、死活的な重大危険にさらされる場合には、捕虜の助命を拒否できるとの規則が
 ある」と主張している。同書第四版以降の改訂者は、同規則の存続は「信じられない」との意見を表明し
 ている。
  学界の通説は、右のような場合には、捕虜は武装解除された後解放されるべきであるというものである。

どこにも一旦拘束した兵を無裁判で処刑してよい、あるいは攻撃対象を移動させ改めて攻撃を続行しても
問題ないと書かれていません。 むしろ敵兵拘束により、“交戦法規を遵守すれば致命的な危険にさらされ”
る場合以外は、助命を拒否できないと書いてあります。また、“捕虜の継続的存在により、死活的な重大危
険にさらされる場合”、“学界の通説は、右のような場合には、捕虜は武装解除された後解放されるべきで
あるというものである”と説明しています。
さらに、“極度の緊急事態の不存在や、軍事的成功への寄与の欠如が明らか”な場合の助命拒否は戦争
犯罪になるそうです。いったい否定派はどこをどう読んでるんですかね。
19日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:16:30 ID:8fwGY/Nd
「南京事件 − 虐殺否定論の動向)」吉田裕 一橋大学教授 歴史学者(日本近代史) 1999年6月5日講演より
二、南京事件をめぐる論争について (2)国際法の無視による虐殺の否定
 これらは国際法の歪曲ですが、もうひとつは国際法の無視です。これは何度言ってもこの主張を無視するんですけど、
彼らが言うのは便衣兵ですね。資料8を見てください。小林よしのりさんのマンガ。「便衣兵 − つまりゲリラである」、「軍
服を着ていない、民間人との区別がつかない兵である」、「国際法ではゲリラは殺して良い」、「ゲリラは掟破りの卑怯な手
段だからである」。いい加減にしてほしいんですけど、ちょっと一言説明しておきますと、ゲリラ、民兵、義勇兵というのは
国際法の中では主流ではなかったんですね。(中略)もう一度見なおしてください。4つの条件を満たしてのみ、民兵や義
勇兵には交戦資格が与えられる。だから捕虜になった場合でも、人道的に処遇されるということです。まあ第一項はいい
ですよね、責任者がいる。ところが、第二項の遠方より認識しうべき固着の特殊徽章を有すること。たとえば都市ゲリラの
場合、民衆にまぎれて、市民に紛れて行動するわけですよね、私はゲリラですってワッペンをつけて回るバカはいないわ
けで、これはゲリラの活動を規制する面があるんですね。当時の国際法自体がです。国際法は目安として重要なんです
けれども、国際法自体が歴史性というものをもっていて、特に戦前の国際法はゲリラという形をとって現れるような、民族
的抵抗を抑え込む役割を果たしていた。その歴史性ということを考えにいれないといけません。しかしそれを押さえた上で
もやはり当時の国際法からみても無理な主張を彼らはしています。
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 便衣兵というのは1932年、昭和7年の第一次上海事変の時に登場してくるんですね。これは便衣という一般人の服で
すね、これを中国の学生や労働者が着て、正規兵も少しいたようですけど、民間人の服を着て、上海で一種の都市ゲリラ
をやる。単独で行動して拳銃で狙撃したり手榴弾を投げる、これを便衣兵というんですね。そういう民間人の服を着てゲリラ
的な行動をする戦闘者、これが便衣兵です。これは当時の国際法の解釈では、現行犯でですね、手榴弾を投げてきたり、
拳銃で狙撃してきたときは、現行犯で正当防衛で反撃できますけど、処刑するにはこれもやっぱり国際法上は軍事裁判の
手続きが必要なんですね。小林よしのりは国際法上は殺してもよいと書いていますけれど、これは全くの間違いで、軍事裁
判の手続きを経て、初めて処刑ができるわけです。それはそうなんで、民間人の服を着て、武器ももってないのに、お前は
目つきが悪いからゲリラだろうとか、まあ南京ではそういうことで殺しちゃったんですけど、そういうことをやると大変なことに
なるわけですね。事実、第一次上海事変の時には、日本の外務省の電文の中に残ってますけど、かなり誤認というか、間
違って一般人を殺してしまった。日本人の居留民が自警団みたいのを作って、自分たちで検問をやって、通行人を処刑しち
ゃう、殺害しちゃうんです。外国人まで間違えて殺害した例があって、これは日本の出先の外交官が本省に報告してますけ
ど、かなり間違えて一般人を殺してしまったのです。そういうこともあるから、当時の国際法の解釈でも、間違えて良民を、冤
罪の良民を殺してしまう場合もあるから、必ず軍事裁判の手続きを経ないと処刑できないんだというのは、当時の日本軍の
常識でもあった訳ですね。ところが、南京でやったことは、まず厳密にいって、便衣兵という戦闘者はいません。多少散発的
な抵抗はあったと思いますけど、『南京戦史』をみても、先ほどの『証言による南京戦史』を読み返してみたんですけど、難民
区の掃討に当たったのは第9師団の第7連隊という連隊で、その上の旅団長の副官の談話が載ってましたけど、城内に入
って難民区に入っても、殆ど抵抗はなかったということを言ってるんですね。だから中国軍の便衣兵による抵抗は無かった。
20日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:17:14 ID:8fwGY/Nd
戦時重罪犯であるだけで即決処刑を可能とする学説・見解は存在しません。

『上海戦と国際法』信夫淳平 国際法学者 丸善 1932年 P114,P125-126
 現交戦法規の上に於て認めらるゝ交戦者は、第一には正規兵、第二には民兵(Militia)及び義勇兵団
 (Volunteer Corps)にして(一)部下のために責任を負ふ者その頭に立ち、(二)遠方より認識し得べき固着の
 特殊徽章を有し、(三)公然兵器を携帯し、(四)その動作に付戦争の法規慣例を遵守するといふ四条件を具
 備するもの(正規兵も是等の条件を具備すべきは勿論である)
 然るに便衣隊は交戰者たる資格なきものにして害敵手段を行ふのであるから、明かに交戰法規違反である。
 その現行犯者は突如危害を我に加ふる賊に擬し、正當防衞として直ちに之を殺害し、叉は捕へて之を戰時
 重罪犯に間ふこと固より妨げない。

便衣隊の害敵手段行使現行犯は正当防衛として直ちに之を殺害し、又は捕へて之を戦時重罪犯に間う事と言って
るだけで、交戦者資格無き者というだけで即決処刑してよいとは言ってない。因みに南京で確認できた便衣隊は5,6人。

『国際法辞典』筒井若水 国際法学者 有斐閣 1998年 P81
 伝統的な戦時国際法は、戦闘員資格をもつ正規軍による敵対行為だけを適法とし、文民等その資格を欠くもの
 はもとより、正規兵であっても不正規軍の適法な構成員資格を満たさない者の敵対行為は交戦法規に照らして
 違法としてきた。

不正規軍の適法な構成員資格を満たさない者の敵対行為は、違法と言ってるだけで即決処刑してよいとは言ってない。

『戦時国際法論』立作太郎 国際法学者 日本評論社 1944年版 P62
 上述の正規の兵力に属する者も、不正規兵中、民兵又は義勇兵団に後述の四条件を備へざることを得るもの
 ではない。 正規の兵力たるときは、是等の条件は、当然是を具備するものと思惟せらるるのである。正規の
 兵力に属する者が、是等の条件を欠くときは、交戦者たるの特権を失うに至るのである。例えば、正規の兵力に
 属する者が、敵対行為を行うにあたり、制服の上に平人の服を着け又は全く交戦者たるの特殊徽章を付したる
 服を着せざるときは、敵により交戦者たる特権を認められざることあるべきである。

正規の兵力に属する者が四条件を欠くときは、交戦者の特権を失うと言ってるだけで即決処刑してよいとは言ってない。

続く
21日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:17:55 ID:8fwGY/Nd
「南京事件と戦時国際法」佐藤和男 国際法学者 『正論』 2001年3月号 P317
 一般に武器を捨てても(機会があれば自軍に合流しようとして)逃走する敵兵は、投降したとは認められない
 ので、攻撃できるのである。安全区に逃げ込んだ支那兵は、投降して捕虜になることもできたのに、 それを
 しなかったのであり、残敵掃討が諸国の軍隊にとってむしろ普通の行動であることを考えると、敗残兵と確認
 される限り、便衣の潜伏支那兵への攻撃は合法と考えられるが、安全区の存在とその特性を考慮に入れる
 ならば、出入を禁止されている区域である安全区に逃げ込むことは、軍律審判の対象たるに値する戦争犯罪
 行為(対敵有害行為)を構成すると認められ、安全区内での摘発は現行犯の逮捕に等しく、彼らに正当な捕虜
 の資格がないことは既に歴然としている。

安全区内での摘発は現行犯の逮捕に等しい為、正当な捕虜の資格はなく、軍律審判の対象たる戦争犯罪行為である
とし、逃走する敵兵は投降したとは認められないので攻撃できるが、逃走する敵兵以外を攻撃してよいとは言ってない。

「南京事件と国際法」吉田裕 一橋大学教授 歴史学者(日本近代史) 『南京大虐殺の研究』 1992年 P95-125
 しかし、『南京戦史』の主張に従って、難民区内に本来の意味での『便衣兵』が多数、潜伏していたと仮定しても、
 その殺害を正当化することは、国際法上不可能である。なぜなら、国際法の上では『便衣兵』の処刑には正規の
 軍事裁判の手続きが必要であり、軍事裁判の手続きを省略した殺害が許容されるのは、その『便衣兵』が敵対行為
 の『現行犯者』であった場合に限られていたからである

便衣兵が敵対行為の現行犯者であった場合は軍事裁判の手続きを省略できると言っているのであり、戦時重罪犯で
あるだけで軍事裁判の手続きを省略できるとは言ってない。
※因みに吉田裕は南京に便衣兵は居なかったという説を唱えている。

即決処刑を許容するのは信夫淳平と吉田裕で、信夫は便衣隊の害敵手段行使現行犯の場合、吉田は便衣兵の敵対
行為現行犯を具体的に指摘している。これらの現行犯以外での即決処刑については言及してない。
佐藤和男が現行犯とする安全区への逃げ込みは、正当な捕虜資格が得られないと言っているだけで、軍律審判の対象
であるとの事。この行為に対し即決処刑してよいとは言ってない。佐藤が許容する殺害とは逃走する敵兵への攻撃である。
筒井若水と立作太郎は、4条件を備えていない正規軍は交戦者たるの特権を失い、違法であると言っているだけで、
4条件を備えていないからといって即決処刑してよいとは言ってない。

つまり、どの説も戦時重罪犯であるだけで即決処刑が可能とは言っていない。戦時重罪の構成により直ちに殺害できる
場合がある、若しくは交戦者の特権を失うと言っているに過ぎない。学者・有識者の見解で、戦時重罪犯であるだけで
即決処刑を可能とする説は存在しない。
22日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:18:37 ID:8fwGY/Nd
佐藤和男の言う違法な虐殺行為ではない潜伏敗残兵の摘発・処刑は、何人だったのでしょうか。
検証してみましょう。

「南京事件と戦時国際法」佐藤和男 国際法学者 『正論』 2001年3月号 P317
  兵民分離が厳正に行われた末に、変装した支那兵と確認されれば、死刑に処せられることもやむを得
 ない。多人数が軍律審判の実施を不可能とし(軍事的必要)― 軍事史研究家の原剛氏は、多数の便衣
 兵の集団を審判することは「現実として能力的に不可能であった」と認めている―、また市街地における
 一般住民の眼前での処刑も避ける必要があり、他所での執行が求められる。
 したがって、問題にされている潜伏敗残兵の摘発・処刑は、違法な虐殺行為ではないと考えられる。

先ず、兵民分離査問(12月24日〜1月5日)での潜伏敗残兵の摘発人数を見てみましょう。

佐々木倒一少将私記
 1月5日 査問会打切り。この日までに城内より摘出せし敗兵約2000、旧外交部に収容

このうち何人が解放されたかというと、

読売新聞 1938(昭和13)年1月10日
 敗残兵一掃のため行われた難民調査は、暮から始められて7日漸く一段落を告げて、敗残兵1600名と
 その他のものは安民居住の証を与えられ、今では大手を振って城内を歩けるようになった

兵民分離査問で摘出された敗残兵は2000人、うち1600人は良民証を与えられています。残りが全員
処刑されていたとしても400人が最大値です。
佐藤和男の言う「潜伏敗残兵の摘発・処刑は、違法な虐殺行為ではないと考えられる」は、最大でも僅か
400人。否定派の無裁判処刑合法論は、僅か400人の処刑が合法であるという論だったんですね。
23日出づる処の名無し:2010/06/17(木) 18:19:19 ID:8fwGY/Nd
否定派が言う「日本は極東軍事裁判の諸判決を受け入れたのであり。裁判そのものは受け入れていない」は、はたして
本当でしょうか。単純に言えばサンフランシスコ講和条約の accepts the judgments の訳の問題です。では政府見解を
見てみましょう。

外務省 歴史問題Q&A
問7.極東国際軍事裁判に対して、日本政府はどのように考えていますか。
 1.極東国際軍事裁判(東京裁判)は、戦後、連合国が日本人の重大戦争犯罪人を裁くために設置された裁判で、28名
 が平和に対する罪や人道に対する罪等により起訴され、病死または免訴となった者以外の25名が有罪判決を受けた
 ものです。
 2.この裁判については様々な議論があることは承知していますが、我が国は、サンフランシスコ平和条約第11条により、
 極東国際軍事裁判所の裁判を受諾しており、国と国との関係において、この裁判について異議を述べる立場にはない
 と考えています。     ~~~~~~~~~~~~                          ~~~~~

平成18年2月14日 衆議院予算委員会
小泉総理大臣 「極東国際軍事裁判所の裁判については、法的な諸問題に関して種々の議論があることは承知している
 が、我が国は、日本国との平和条約第十一条により、極東国際軍事裁判所の裁判を受諾している。御指摘の答弁は
 いずれも、この趣旨を述べたものであり、その意味において相違はない。」

麻生外務大臣 「B級戦犯、C級戦犯含めまして、複数の裁判所の決定に皆従うという意味で、ジャッジメンツというぐあい
 に複数になっているというように理解するのが正しい英語の理解の仕方だと存じますので、裁判所の判決ではなくて
 裁判を受諾したというように、サンフランシスコ講和条約第十一条はそれを意味しているものだと理解しております。」

安倍官房長官 「今申し上げましたように、私は、もともとの正文である英文を引用してジャッジメンツと申し上げたわけで
 ありますが、政府においてはそれは裁判ということで訳しているわけでありますが、基本的には、要はこれは何を我々は
 受諾をしたかといえば、先ほど申し上げましたように、この判決について、またこの法廷もそうなんですが、それも含め
 て我々が異議を申し立てて損害賠償等々をする、そういう立場にはない、こういうことではないだろうか、こう思います。」

政府見解ではjudgmentsを裁判としている事がお判りいただけたと思います。
そもそも、「判決」を受け入れるのと「裁判」を受け入れるのとでは何の違いもありません。判決を受け入れるという事は、
その判決理由や裁判所の管轄権をも受け入れることを意味し、判決理由や管轄権を認めず、刑の執行のみを受け入
れるという事にはなりません。また、もし刑の執行の受け入れのみを要求するのでであれば、サンフランシスコ講和条約
第11条には accepts the sentences と書かれていた筈です。