掘削リグ爆発、原油流出:
報道ビデオをもう一度詳しく見たんだけれど、爆発後の火災は、燃えているのが多分原油で、その証拠に
大量の黒煙が上がってる。で、火はかなり水面に近いところから出ているんで、ライザーが破損したっぽい。
ライザーってのは、海底から掘削リグまでを繋ぐパイプで、普通(水深50mくらいの掘削)では直径40”、
約1mくらいの鋼管。おいらが経験してる掘削リグでは、このライザーの上、掘削リグ側にBOP(暴噴防止装置)
が乗ってた。ただ、このリグの場合、水深が深いので、ブラジル、リオ沖のような、海底据え置き型の可能性
が大きい。BOPってのは、おいらが経験したヤツは、全部で7段のバルブで構成されてて、普通は赤い色を
してる。最初から5段目までは、掘削管を外側から抑えるバルブで、最後の2段はシャッターバルブって言って、
掘削管を切断して閉まるようになってた。普通、超高圧の窒素ガスでバルブを動作させるんだが、7段あるうち
のいくつかは、窒素供給が止まると閉鎖するようになってた。
だから、こいつが動作してない、ってのはどうにも信じがたい。それと、セメンチングでの暴噴ってのは、
ガスである場合が多い。この場合、ケーシング内部じゃなくて、ケーシング外側をガスが上がってくる。
ケーシング内部は重い泥を詰め込んでるから、ガスにせよ、原油にせよ、上がってこられない。しかし、
ケーシングを入れる事で、外側が泥の圧力が減るため、ガスが上がることがある。それでも普通は地圧によって
坑井の壁が押し出されてケーシングに密着するから上がらないんだけどね。しかし、地質によっては、地上
までガスの通路ができちゃう場合があって、そこを上がる事がある。
このガスは、上がるほど体積が増えて、坑底で直径が5mmほどの泡が地表ではとんでもない大きさまで
膨れ上がる事になる。ケーシング入れて、セメンチングしてたわけだから、それまでなら泥の循環である程度
圧が抜けてたのが、セメンチングした事でケーシング外側へ回ったってのは考えられる。
ガスは多分CH4主体だと思うが、検知器はリグ下面(っていうか、ドリルフロア下面)にも付いてるはずで
アラームが出なかったのだろうか??セメンチングは普通セメンチングポンプってヤツでするから、それを
動かすエンジンの排気熱なんかで引火することはあり得るけど、そこまでガスが達する前にアラーム出ると
思うんだが・・・
それとリグが沈んじゃった事が、事態をややこしくしてる。っつーか、消火活動時点では、すでにリグが
坑井の真上から動いちゃってるように見えるんだが・・・爆発で電路でも切れた(このリグはダイナミック
ポジショニングって言ってるが、上架した写真には自航能力は見当たらないから、アンカーによるポジショニング
だと思う。そのためのアンカーもある。)のだろうか?でも普通は電気切れると、アンカーワイヤーは固定
される側になるんだけどねぇ・・・しかし、どうして沈んだんだろ?浮力体に爆発の影響があるとは
考えにくいんだが??(浮力体は掘削中は水中にある。)消火活動の水だろうか??韓国製だからってのは
却下w