【政治経済】平成床屋談義 町の噂その313

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207地球の裏側 ◆/lYVcP7um2
さてと、変なのが涌いたから、もう少しマグロ漁について皆さんに知って戴こう。

日本が輸入するクロマグロは巻き網で取られたものではないのです。その理由は
生食用だから。
明確な統計は多分無いはずですが、世界の巻き網漁船で生食用冷凍設備を持つ船
は多くない。あたしが確実に知るエクアドル船籍の船で、生食用マグロを巻き網
で漁獲、冷凍可能な船は3百数十隻(含む近海巻き網船)のうちたった2隻。
その他の船は冷凍設備を持っていても、アンモニアブライン凍結法が主流で、これは
生食には無理。解凍時、強烈なアンモニア臭がしますし、その臭いは身にもついて
います。また、凍結前、一旦塩漬けにしてから凍結します。缶詰用には問題ないですが
生食はできません。(実際に経験してます。)

日本で流通する冷凍マグロ類はそのほぼ全てがフレオンによる間接冷凍法。(空気冷凍)
凍結温度は-50度C以下です。船での保存は-45度C以下になっていますが、よほど古い船
でない限り、-60度程度の実力は持っています。これらの船の大半が延縄漁船で、漁獲は
選択的です。延縄がなぜ選択的な漁法か、というのは、釣鉤の大きさで魚体の大きさを
制限できるから。加えて、マグロ延縄漁は稚魚の多い表層での漁ではない、と言うこと
も重要なファクターかも知れません。現在、南米西岸沖で操業する延縄漁船、主にメバチ
マグロ主体ですが、水深150mから350m程度という深い水深で操業します。

もっとも、これは日本籍マグロ延縄船の話で、台湾籍、韓国籍、中国籍、また韓国籍船
が規制逃れで逃げた、バヌアツ船籍などですと多少事情が異なります。
これらの延縄漁船は釣鉤を小さくして、より小型のマグロまで漁獲します。今でもやって
いるかは判りませんが、商社などが1船買いと呼ぶ買取方法に登場するのがこれらの
船です。主にキハダマグロが主ですが、これらの船の漁獲は、価格が非常に安いために、
回転寿司や弁当、惣菜などに多く用いられています。

ただ、これらの船の漁獲でも、マグロ資源減少の本質的原因にはならないと思います。
本質的原因は、缶詰需要の増大に合わせて増加した巻き網漁法による工業的漁獲です。
ちなみに、これらの船の漁労長は米国人、スペイン人、ポルトガル人が大半です。