【政治経済】平成床屋談義 町の噂その287

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903日出づる処の名無し
ドバイショックについて腹黒氏が解説してるので転載

188 名前:代表戸締役 ◆EP2zNwyYN2 @株主 ★[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 06:31:49 桜 ID:6Y0unmf8
基礎資料
http://www.boj.or.jp/type/release/adhoc/itaku0804b.pdf
■基礎知識
ドバイ問題を理解する為にはUAEアラブ首長国連邦の構造を知る必要がある。UAEはその名の通り、7つの国家の
連合体であり、アブダビ、ドバイ、シャルジャ、ラス・アル・ハイマ、フジャイラ、アジュマン、ウム・アル・クワィンの
7つの首長国で成り立っている。そして、ドバイは地域的に石油の算出が少ないため、観光と金融センターとして
国家の生き残りをかけてきたのであった。
■デベロッパー国家ドバイ
そして、ドバイは観光開発に力を入れ、国家としてデベロッパービジネスに乗り出したのであった。土地を開発し
そこに上物を立てて、それを小売りする。その利ざやを国家の収益にしようとしたのであった。しかし、資源バブル
崩壊とリーマンショックはその計画を破壊した。資源バブル崩壊によりアラブの収益性が悪化し、さらに証券化と
いうビジネスモデルが崩壊したため、バブルが崩壊したのである。
これは土地を担保に上物を立てて、それを売却するという基礎構造を破壊してしまったのである。地価は3分の1
程度でも買い手が付かず、そして、開発途中の物件が多く残されたのであった。この為、デベロッパーは資金繰り
に行き詰まり破綻の危機を迎えたと言うことである。そして、そこに貸し付けていた銀行は大きなダメージを喰らい、
リスク回避のと自己資本維持のため、『貸し剥がしと貸し渋り』をしなくてはいけないと言う憶測が生まれたのであった。
■主な被害者は欧州系銀行
その貸し出し比率を見ると欧州系が突出しており、特に英国系の被害が懸念されている。これは英国のHSBC、
SCという海外向け銀行がGCC(湾岸連絡会議)通貨統合と金融センター事業に対して、主導的な役割を果たして
きたためであり、これが被害想定を大きくしているのである。また、債権の多くは証券化という手法で様々な金融
商品に組み込まれており、それが最終的な被害者を見えない状況にしているのである。
UAE向け与信(所在地ベース)、6月末時点(暫定データ) 単位は億ドル
地域別Total 1231.1 Japan 89.6 Europe 886.2 USA 106.2 Others 149.0
国別
United Kigdom 502.0 France 113.0 Germany 106.4 United States 106.2
Japan 89.6 Switzerland 45.6 Netherlands 44.6 Austria 19.1 Belgium 13.9
Spain 8.9 Canada 6.9 Australia 6.0 出典BIS

904日出づる処の名無し:2009/11/28(土) 09:21:10 ID:P/OMb+kg
189 名前:代表戸締役 ◆EP2zNwyYN2 @株主 ★[sage] 投稿日:2009/11/28(土) 06:33:17 桜 ID:6Y0unmf8
■欧州系銀行毀損の二次効果
欧州系先進国銀行が傷つくことで、その効果がどこに出るかという問題が生じる。銀行は自己資本維持の
ために貸し剥がしを進めるものと想像され、その投資先にリスクは拡散する。特に欧州系の多くは域内の
東欧諸国など新興国向け融資が大きく、破綻危機に面している中東欧諸国の破綻リスクが上昇すること
になる。この場合、中東欧からのドミノが発生することになり、欧州先進国の中でも中東欧諸国向け融資を
多く抱えるスウェーデンやオーストリアなど中小国の破綻が現実しされることになるのである。
当然、欧州連合などは破綻回避に動くと思われるが、その先行きに不透明感が強まるのは確実である。
■シンガポール、上海、上海市場
アラブイスラム金融のもう一つの中心は、実はアジアにある。これは元々英国の植民地銀行であるHSBC、
SC(どちらも香港ドルの発券銀行)などの本拠地がアジアにあるためであり、アラブ(イスラム)の金はここを
通じてアジアに投資されていたのであった。ドバイショックによりこの資金の行方が不透明なものとなり、
この部分においても貸し剥がし貸し渋りのリスクが高まっているのである。
■世界の銀行
サブプライム後の世界の金融はオイルマネーとアラブの出資に助けられ、そして、オイルマネーは世界を
席巻した。しかし、今回のドバイの危機はその環境を一変させるだけの大きなショックとなる可能性が
高いのである。出資者が不在となることで、世界の危機は大きな局面を迎えていると言えよう。
■今後の焦点
ドバイという国家がデフォルトするかが大きな焦点となる。金融ビジネスとしての債権取り扱いルールに
従えば、モラトリアム宣言はデフォルトイベントとなる。特に国営ファンドのデフォルトとなれば、ドバイという
国家そのもののデフォルトとなり、ドバイ向け債権すべてがその影響を受けることになる。また、国家構造的
にドバイ以外のUAE全体への波及も懸念され、それが問題を深刻化させることになる。
問題となるのは、ドバイの損失を産油国でありUAEの首都があるアブダビ首長国が引き受けるかということ
であり、これをアブダビが引き受けた場合、その二次波及効果は限定的なものとなる可能性もある。
また、その被害の深刻化から、債権の取り扱いに関してイレギュラーな取り扱いを認める政治的な決定が
下される可能性もあり、この場合も被害と影響は限定的なものとなる可能性もある。これはすでに政治的な
領域となっているのである。