【政治経済】平成床屋談義 町の噂その272

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64日出づる処の名無し
ttp://online.wsj.com/article/SB10001424052748704107204574470004052709162.html
OPINION ASIA OCTOBER 13, 2009, 4:41 P.M. ET
Pakistan's Partial War on Terror:The deadly results of cooperation with terrorists. By C. CHRISTINE FAIR
パキスタンの、不十分な、テロとの戦争:テロリストとの協力関係のもたらした破滅的な結果
By C. CHRISTINE FAIR (ジョージタウン大学準教授、EWSFS・安全保障研究プログラム) WSJ寄稿評論、13日、要旨

先週パキスタンでは幾つかの自殺攻撃テロ事件と軍総司令部占拠事件がおきなわけだが、これはパキスタンのテロ
との戦いの問題点にスポットライトをあてるものである。考慮されるべき事はパキスタン政府の長期にわたるテロリスト
グループへの協力関係が破滅的な結果をもたらしていると言う事で、パキスタン政府はこれまでの誤った政策のつけを
支払っていると言える。

過去数十年にわたってパキスタン政府はテロリストを手先として使い自己の資産の一部とみなしてきた。ソヴィエトのア
フガニスタン侵略以前には、イスラム原理主義のテロリストをインドやアフガニスタンへの対抗のために使っていた。今で
もパキスタン政府はアフガニスタンのタリバン勢力を支援しているのだが、その理由は米国やNATO勢力の撤退の後に
はインドとの対抗の為に彼らが利用できるとの思惑のためである。これは2001年以前のパキスタンのタリバン勢力支援
と同じ論理である。

パキスタン政府はカシミール紛争に関連して、Lashkar-e-Taiba、Jaish-e-Mohammad.、Lashkar-e-Taibaなどのテロリス
ト・グループを支援してきたが最後のものはムンバイの自殺攻撃事件を起こしたグループである。これに加えてパキスタン
にはアンチ・シーア派のテロリスト・グループがあり、Lashkar-e-Jhangvi、Sipha-e-Sahaba-e-Pakistanなどがシーア派へ
のテロ事件を起こしてきた。シーア派はパキスタン人口の四分の一を占めている。これらのグループは山岳地帯の部族
地域にいるのではなくて、パキスタンの最も人口の多い、軍の施設の多いパンジャブ地域にある。これらのテロリスト・グル
ープはパンジャブに拠点を置く多数の軍の拠点の目と鼻の先で、その組織を運営してきた。

パキスタン政府の伝統的な考え方は、これらのテロリストグループは使い道があり、もし彼らが、余りに目につくような許容
範囲を超える活動をすれば、それを懲罰しコントロールできるというものである。今年の前半にパキスタン政府は国内のタリ
バン勢力を攻撃しているが、それは彼らとの交渉が決裂したためである。いわゆるカシミール・グループのテロリストに対し
て、パキスタン政府はその活動がインドとの軋轢が高まり国際的な非難が起こった後で、行動を規制するよう動いている。
65日出づる処の名無し:2009/10/14(水) 09:20:15 ID:PT3x7pFK
今日、パキスタン政府のこうした戦略が如何に近視眼的で危険であったのかが明瞭になった。まず、これらのテロリスト・グ
ループは相互に連結しており、パキスタン政府の想定したように容易に管理できるものではなくなった。Lashkar-e-Jhangvi
はJaish-e-Mohammad、およびパキスタンのタリバンと人員や資源を共有しており、両者は部族地域のタリバンに連結して
自殺爆弾攻撃をもたらし、国内のハイバリュー目標へのテロを起こしている。Lashkar-e-Taibaを例外として、これらテロリス
ト・グループはアルカイダだと連結している。そして、これらテロリスト・グループはパキスタンの諜報組織(IIS)や民間政治家
とのコネクションを有している。

これらテロリスト・グループの一部は、米国の進める戦略の影響で、今ではかっての飼い主(政府)によって罰せられている。
米国はアルカイダとの戦争を進め、アフガニスタンでの戦争に関わるロジスティックな理由でタリバンを攻撃している。それら
のタリバンにはパキスタン軍や米軍のプレディターによる攻撃が行われている。

軍総司令部占拠事件が、直ちにパキスタン政府のテロリスト・グループに対する許容の政策を変えることになるとは予想で
きない。パキスタン政府は軍や政府へのテロリストの攻撃を、米国やインドや、その他の諸外国の勢力へのパキスタン国
内からの反感のためであると言い募ってきた。パキスタン国内の世論調査(筆者等が実施したもの)によれば国民にはテ
ロリストの行動や軍、諜報機関との連結について、事態がよく知らされていない。

現実的にいって、パキスタン政府は国内のテロリスト・グループとの関係を早急に見直す必要があり、それについて米国な
どが支援する事は出来ても、究極的には政府が自らの責任で戦略の変更を行うしかない。米国はこの問題(パキスタン政
府とパキスタン国内のテロリストの腐れ縁)について認識が不十分であり、米国がパキスタン政府にアフガニスタンのタリ
バントの対決を求めたのは2007年以降である。米国はパキスタン国内のテロリスト・グループの問題をパキスタンの内政
問題と見る傾向が強く、テロとの戦いのコンテキストでの位置づけが遅れた。米国はこれまで$13Bの資金をパキスタンの
テロとの戦いの支援の為に供出してきたが、最近はアメリカ議会が、この問題に注目して資金の用途に制約を課している。

パキスタン政府の考え方は、「悪い」テロリストと対決する一方で、「良い」武装派勢力を保護する、というものであった。これ
は維持不能になってきている。最近のテロリストグループの軍への攻撃や、軍による空爆などは政策の誤りの高いコストを
示している。こうした問題はパキスタン政府への諸国からの国際的支援について、それをためらわせる要因にもなる。米国
はパキスタン政府に見直しを強く迫るべきだが、結局のところ、そうした事によるメリットを最大に享受できるのはパキスタン
政府そのものであるはずだ。