中国、IT技術の開示義務化を発表 来春、政府調達品で
中国政府は29日、ICカードリーダーなど情報セキュリティー製品を中国で製造・販売する企業に、
技術情報の開示を義務づける「強制認証制度」を、政府調達品に対象を限定したうえで来年
5月1日から実施すると発表した。
当初は、中国で製造・販売するすべての製品を対象に今年5月に制度を導入するとしていたが、
企業の知的財産が流出する懸念があるとして日米欧などから撤回を求められ、延期を表明していた。
この日北京であった日中首脳会談では、麻生首相が導入の再考を要請。温家宝(ウェン・チアパオ)
首相は「各国の助言をふまえて適用範囲を狭め、導入を1年延期する」と応じたが、
麻生首相は「政府調達と言っても範囲は広いのではないか。日米欧の意見をよく聞いて再考して
もらいたい」と述べ、導入撤回を求めた。経済産業省は「政府調達に限定しても国際的に整合性の
ない制度であることには変わりなく、中国との貿易に影響が出る恐れがある」(情報セキュリティ政策室)
としており、今後も中国政府と交渉を続ける方針だ。
中国政府は29日午前、日本など各国政府の担当者らを集めて方針変更を伝えた。対象になるのは、
ICカードリーダーのほか、外部からの不正なアクセスを防ぐ「ファイアウオール(防護壁)」関連の製品など
13品目で、民間企業や個人に販売する製品は含めない。政府調達に限定した形なら日米欧側の
理解を得られる、と判断したとみられる。
中国政府の方針変更に対し、日系企業の間では一定の評価はしつつも、中国では有力企業の多くが
国有企業であることから「『政府調達』の範囲を見極める必要がある」(電機メーカーの現地法人幹部)
との見方が出ている。
日米欧側にはこれまで、制度導入は「高度の技術情報を無償で手に入れるのが狙い」(北京の外交筋)
との見方が強く、「技術的なノウハウで商売しているのに、競争力の源泉が侵害される」(電機メーカー幹部)
などと反発の声が出ていた。(琴寄辰男=北京、高野真吾、澄川卓也)
ttp://www.asahi.com/international/update/0429/TKY200904290169.html