【wktk】ロシア経済ワクテカスレ 【愛を込めて】

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203日出づる処の名無し
<9月21日>(日)
○日本で外資系証券会社で働いている人(ただしリーマンにあらず)が、ふとこんなことを
言っていたのです。
「ウォール街は今でもロシアのマネーを拒否している。理由は分からない」
○なるほど、これは不思議。だってモルガンスタンレーなどは、チャイナマネーを資本金に
入れている。おそらく「中国はどうにでもなる」と考えているのだろう。でも、ロシアは別で
あるらしい。ロシアには石油を原資とするSWFがあって、対外的な投資に消極的でもない
はずなのだが、去年からの米系金融機関の「SWF詣で」の際にも、キレイさっぱりロシアに
出資を仰ぐ話は出なかった。やはり冷戦時代と同じく、「ロシアは敵」なのだろうか。
○そうだとしたら、その警戒感はまことに正しかったことになる。8月のグルジア紛争以来、
世界は「新冷戦」といわれる事態に陥っているが、仮にウォール街がロシアン・マネーを
入れていた場合、今頃、プーチン/メドベージェフはアメリカの首根っこを押さえることが
できただろう。ところが実際には、グルジア紛争以降はロシアからの資金逃避が始まり、
株価とともにルーブルが暴落している。ついでに資源価格も下がり始めたので、今のロシアは
さぞかし困っているだろう。
○もっとも、ロシアが本気で「新冷戦」を目指しているかと言えば、それはかなり疑わしい。
少し前に、フランシス・フクヤマが確かこんなことを書いていた。彼らは社会主義に基づく
イデオロギー対立を目指しているのではなく、単に「俺たちを大国として遇しろ」と言って
いるだけだ。ロシアはソ連に戻ったのではなく、19世紀の皇帝時代に戻った。その頃の
ロシアは、ちゃんと欧州各国と取引の出来る相手だったから、今日のわれわれも淡々と
Balance of Power外交で臨めばいいのだ、というのである。これはまことに正しい指摘だと
思います。
○おそらくロシアは、資源価格高騰とアメリカの脆弱化を見て、するすると前に出てきた。
ロシアの伝統的な思考法は、「良いか悪いか」ではなく、「強いか弱いか」である。自分が
強くて相手が弱いのだから、グルジアに出ていくのは当然、という発想である。それでは、
資源価格が下がって、自分たちに利あらずというときはどうするか。おそらくは静かに
去っていく。とはいえ、そこは「退却するロシア軍に注意」で、下手に深追いしてはいけない
のである。
○ところで「ロシアを取り込んではいけない」というのはウォール街の叡智だったとして、
「中国は取り込んでも大丈夫」という判断は果たして正しいのでしょうか。これもまた、どこかの
時点で答えが出るのでしょう。
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