【政治経済】平成床屋談義 町の噂その27

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11日出づる処の名無し
>>7訂正
「洋上ガソリンスタンドなんて、なんで日本がやるんだ」と思っている方へ

まずは軍艦の基本を解説します。洋上に停まっている艦船は、テロリストに体当たり攻撃をされると避けることができないので危険です。(慣性の法則)
そのため、洋上では補給する側とされる側の両方の船が同じ速さ、同じ幅で航行しながら給油する「移動給油」が一般的です。
他国の海軍はこの移動しながらの給油を14〜16ノット(26〜30km/h)で行いますが、インド洋で活躍する日米を含む一部の海軍は20ノット(37km/h)での給油することができます。
移動しながら給油できる速度が速いほど、テロリストからの攻撃から逃れやすくなり、給油中を狙われにくくなります。

この高速で移動しながら給油ができる補給艦のことを「高速戦闘支援艦(AOE)」といいます。
(※参照 ttp://www.clearing.mod.go.jp/hakusho_data/2006/2006/html/i51c4000.html )

洋上給油ができる艦船(以下、補給艦という)を持つ国は珍しくありませんが、インド洋のような荒れた海で洋上給油を行う技術を持つ軍と高速な補給艦を持っているのは、次の四カ国しかありません。
 ・アメリカ  7隻 (サプライ級×4、ヘンリー・J・カイザー級改×3 ただしカイザー級改は民間委託船なのでインド洋のような荒海では活動できない)
 ・スペイン  1隻 (他国と共同で追加建造中 唯一の補給艦は、自国防衛に使われているためインド洋には回せない)
 ・英  国  2隻+α (フォート・ビクトリア級×2、ウェーブナイト級×3 ただしウェーブナイト級は速度が遅くて、補給システムにも問題があるため自国の補給にしか使えない)
 ・日  本  5隻 (とわだ級×3,ましゅう級×2 世界有数の荒海である日本海で訓練を行っているため、インド洋でも給油活動ができる)

アメリカが一番多くの補給艦を持っていますが、アメリカは自国の補給基地で不純物を濾過した燃料を、自国の補給艦で自国の艦船に補給するようになっています。このため、補給艦には燃料を濾過する装置が付いていません。
日本は補給艦に濾過装置が付いているので、砂や不純物が混じった燃料しか供給できない条件の悪い港からでも、燃料を積み出し、その他の艦船に補給艦単独で濾過して補給することができます。

日本から海上給油を受けた艦船は、日本の海上自衛隊が入ることができない「戦闘海域」であるペルシャ湾で、洋上テロリストを捕まえるために活動しています。
しかし日本の民間タンカーはペルシャ湾を通らなければ、日本に原油を運ぶことができません。
これらの日本のタンカーは、日本の海上自衛隊が守ることができないため、多国籍の海軍に守られています。
2004年には日本郵船の「高鈴」というタンカーが、高速ボートによる自爆テロの被害にあっています。
この時、戦死者を出しながらもテロに対処したのも多国籍海軍です。
ttp://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/crime/86956/
日本は「戦闘海域に行ってはいけない」という法律があるため、自国のタンカーを自力で守ることはできません。
日本に代わって、日本のタンカーをテロリストの攻撃から守ってくれる多国籍軍に、日本の法律が許す範囲内で協力するために作られたのがテロ特措法です。
日本の海上自衛隊は、戦闘海域ではないインド洋で、日本のタンカーを守ってくれる艦隊に補給活動を続けているのです。