Q2、在日自身が望んだから、国籍剥奪は正当では?
A2、望んでいたという根拠は何でしょうか?当時も日本国籍からの離脱は認められていたのですから、
それを行動に表すのなら、とっくに国籍離脱していたのではないですか?
逆に言えば、国籍剥奪まで日本国籍を保持していた者というのは、内心はともかく、
行為として国籍離脱に踏み切らないとしていた者ではないでしょうか?
本当に在日自身が望んでいたとするなら、わざわざ国籍剥奪などする必要はなかったと言えます。
また、よく韓国政府の要望があったと言う人がいますが、それをもって「在日個々人の意思」とするのは
かなり無理があります。朝鮮半島にいる普通の韓国人にとっても当時の韓国政府は独裁政権と言われいますし、
ましてや在日に関しては、いまだに選挙が行使されていません。それに、日本における普通の政治問題を
考えても分かることですが、政府の意見に反対する人はいつでもいます。便宜的な政治判断なら、
それでも「国民の総意」としてかまわないと言えますが、「国民である」という基本的な事柄に関して、
多数決で決めるのはあまりにも過激ではないでしょうか?多数決で決まるなら、例えば旧ユーゴは
分裂することはなかったでしょう。
さらに、こっちの方がより基本的なことですが「国民であること」はすなわち主権者であることであり(
>>2)、
主権者であることは、憲法では「固有の権利(15条)」とされ、人権規約(B規約)では
「思想信条で差別してはならない」と明記されています。当人が「オレは主権者ではない」と言っても
彼が主権者でなくなることはないのです(固有の権利)。ましてや、政府が国民の意思を自称し、
「彼らは主権者でなくなることを望んでいる」として国民の主権の剥奪することはとんでもないことです。
最後に、これはくだらない話ですが、「韓国政府の要望だから、文句があるなら韓国政府に言え」
と言う人がいます。この発言の意味は「日本政府には責任がない」ということなのでしょうが、
他国の要望があったからといって日本政府の名(法務省局長通達)で行った行為の責任がなくなるわけでは
ありません。そもそも、国民認定という内政における根本を“全て他国任せだった”などというのは、
国の主権を放棄したに等しい発言です。結局のことろ、せいぜい、
日本と韓国、両政府に責任があるということになるだけです。