家族会が来月訪中 拉致解決へ働きかけ 産経 07/29 01:58
ttp://www.sankei.co.jp/news/060729/sha008.htm 北朝鮮による拉致被害者の「家族会」と支援組織「救う会」は8月、中国とモンゴルにメンバ
ーを派遣することを決めた。米国や韓国などで拉致問題の非道さを訴えた国際アピール活動
の一環で、北朝鮮に影響力を持つ中国で、被害者家族が拉致問題の現状を初めて報告する
。各国の関心がミサイル発射で北朝鮮に集まる中、拉致問題の解決に向け国際社会への働
きかけを一層強めたい考えだ。
訪中するのは増元るみ子さん=拉致当時(24)=の弟で、家族会事務局長の照明さん(50
)や救う会の島田洋一副会長ら。8月下旬に北京や天津の大学や研究機関関係者らと拉致
問題について意見交換することが決まっており、そのほかの日程を調整中。
これに先立ち、市川修一さん=同(23)=の義姉、龍子さんが8月7日、モンゴルで行われる
「北朝鮮難民と人権に関する国会議員連盟」の総会に参加する。総会では脱北者や難民問題
、拉致を含む北朝鮮の人権問題について、各国の国会議員や非政府組織(NGO)が討議し
共同宣言が採択される。
同連盟の所属議員はアジアや欧米、アフリカなど約30カ国50人。龍子さんは「拉致問題は
人権蹂躙(じゅうりん)の最たるもの。被害者家族の代表として拉致がいかに残酷かを訴える」
と話している。
拉致問題に対する国際連携とアピールは、家族会と救う会の運動方針の柱の一つ。もう一
つの柱である「制裁発動」は、北朝鮮が日本海にミサイルを発射したことで、貨客船「万景峰
92」の入港が禁止されたほか、北朝鮮からの入国審査の厳格化によって5人の入国が拒否
されるなど実質的に発動されており、被害者家族の思いが反映された形となっている。
安倍晋三官房長官も「拉致問題で誠意ある対応を示してこなかった上に、ミサイルの発射と
いう事態に至った」として、政府が"制裁"に踏み切った背景には拉致問題も含まれていること
を明言した。
そして国際アピール。横田早紀江さん(70)らがブッシュ大統領と面会した4月の訪米や、日
韓の家族会が連携を確認した5月の訪韓は北朝鮮側に圧力をかけた。北朝鮮がその後、横
田めぐみさんの夫だった金英男さんを使って幕引きと日韓分断を図ったことは北朝鮮側の焦り
の表れといえる。
家族らの活動はじわりと浸透し始めている。中国では、マカオから1978年7月、中国系女
性2人が北朝鮮に拉致されたことが、脱出した韓国人拉致被害者で女優の崔銀姫さんの証言
などでほぼ確実となっており、家族会などはこうした情報を報告することで中国を拉致の国際
包囲網に引き込むきっかけ作りにしたい意向だ。(中村将)