拉致問題重大局面に 崔桂月さん月末に訪朝 統一日報 6月14日発行版
ttp://www.onekoreanews.net/news-seiji02.cfm 拉致問題は重大局面を迎えたと言っていい。
金英男さんの母、崔桂月さんが、北朝鮮と韓国政府の誘いをうけ、英男さんと会うため訪朝
の決意を固めたことは、拉致被害者救援運動に深刻な問題を投げかけている。とりわけ、日
本の被害者家族と支援運動側は困惑を隠しきれずにいる。
めぐみさんの母、横田早紀江さんは、「崔さんご自身がご判断なさったことですから、私たち
が口を挟む立場にはありません。日本と韓国では立場もちがいますから」と、母親としての崔
桂月さんの心情、立場に理解を寄せたが、早紀江さんは、韓国政府と北朝鮮の要請があった
事実を早くから察知していて、北朝鮮の誘い水に乗らぬよう、崔さんたちに再三メッセージを
送っていた。韓国・日本の拉致問題への取り組みはすでに温度差を見せていた。
韓国政府はそうした日本側の支援運動に対し、「人道問題を政治的に拡大解釈しないほう
がよい」と暗に批判するコメントを出している。韓国政府の姿勢は本末転倒であろう。拉致し
た金英男さんを、「特別離散家族再会行事」の場で、母親に会わせようとする行為はそれこ
そ、人道問題を隠す政治行為である。横田さん夫妻ならずとも、崔さんの訪朝で拉致問題が
隠蔽されていくのではないかという危惧が支援運動全体に広がっている。
崔桂月さん訪朝は、北朝鮮と韓国政府の連携によって計画された。狙いは明らかに、支援
運動の「韓日分断」だ。肉親の情につけ込んだ、政治的な工作と言っていい。
北朝鮮の逃れ道
逃げ場を失った北朝鮮には、崔桂月さんを呼び寄せるしか道がなかったが、韓国政府の
協力で窮地を脱する道を見つけるかもしれない。金英男さんの姉・英子さんは「会って、でき
れば韓国に連れ戻したい」と述べた。そうはなるまい。弟は全く北朝鮮の人間になったと見
たほうがいい。だから、北朝鮮と韓国政府は親子の再会をはかろうとしているのだ。連れて
帰ることはまず不可能だ。
北朝鮮は金英男さんの口を借りて、拉致問題が解決済みであるという従来の姿勢を示す
だろう。「その可能性は高い」と韓国政府当局者も認めている。
日本の家族会が「まだ生きている」と信じているめぐみさんについても、「妻は94年に死
亡した」と、金英男さんに語らせるだろう。めぐみさんの夫とされる人物の証言であるだけに
、およぼす影響は大きいだろう。 (つづく