>>307>>308-309 朝日社説:金正日訪中 打開策は見つかったか 01月19日
ttp://www.asahi.com/paper/editorial20060119.html#syasetu2 平壌で会って3カ月もたたないのに、こんどは金正日総書記が訪中し、北京で胡
錦涛国家主席と再び会談した。それだけ急がなければならない事情が北朝鮮側にあ
ったのだろう。
最大の目的は、6者協議の再開と米国への対応をめぐって中国側と緊急にすり合
わせることにあったのではないか。
北朝鮮のメディアによると、中朝首脳会談では、核問題を対話によって平和的に
解決すること、そして6者協議の枠組みを維持する重要性を確認したという。
どちらもごく当然の認識ではある。北朝鮮の核問題を平和的に解決するための6
者協議は、いま再開のめどが立っていない。そういう時に北朝鮮の最高指導者がこ
うしたメッセージを発したことを重視したい。北朝鮮は早く話し合いに戻り、この
認識を実行で裏づけるべきだ。
ここへきて協議再開が滞っているのは、昨年の共同声明にうたった北朝鮮の核放
棄と日米などの対応措置をめぐり、交渉が核心に近づいたからだ。難しい局面に入
ったことを示している。
そこに別の要因が加わった。北朝鮮が外貨口座を持つ中国・マカオの銀行に対し
、米国が事実上の制裁を科した。
マカオは北朝鮮が外貨を得る拠点といわれる。北朝鮮は米ドル札の偽造や麻薬密
輸で得た資金を「洗浄」するのにその口座を使ってきた、と米政府は見ている。北
朝鮮は疑惑を否定し、米国の措置を不当な圧力と非難して6者協議の再開に応じな
い理由にしている。 (つづく
>>310 しかし、6者協議にからめるのは筋が通らない。外貨の偽造や麻薬の密輸は明白
な犯罪だ。事実でないなら、別の場で米国とやりあえばいい。
訪中した金総書記がなんらかの打開策を中国首脳と協議し、あるいは仲介を依頼
した可能性もある。6者協議を担当する米朝中の代表がきのう、北京で接触した。
総書記の訪中との関連はさだかではないが、一日も早く協議再開への手がかりをつ
かんでもらいたい。
それにしても、金総書記はいつもの特別列車と車を乗り継ぎ、ずいぶんと精力的
に中国国内を動いた。
注目されるのは南部の広州、深センなど経済の先進地を見て回ったことだ。経済
発展のラッパを鳴らした中国の故トウ小平氏が行った有名な「南巡講話」をたどる
ような旅だ。
とくに深センは改革・開放の原点だ。総書記は83年にも訪ねたが、その後「中
国は修正主義だ」と批判したことが中国側の不興を買ったといわれる。そこを再び
訪れることで経済改革へのやる気を示し、中国との経済面での結びつきを深めたい
という意欲を伝えたかったのかもしれない。
北朝鮮の経済再生に中国の協力は欠かせないが、孤立を脱して国際社会に戻り世
界経済のプレーヤーになれば、もっと本格的な発展が可能になる。
6者協議や日朝交渉に誠実に向き合うことだ。それなしに展望は開けない。