横浜教科書訴訟、高嶋教授の逆転敗訴確定へ 朝日 11月21日 23:12
ttp://news.goo.ne.jp/news/asahi/shakai/20051121/K2005112103580.html 教科書検定で文部省(現文部科学省)に修正を求められて執筆を断念した高嶋伸欣
(のぶよし)琉球大教授が、「表現の自由を侵害された」などとして国に100万円の賠償
を求めた訴訟の上告審の判決期日が、12月1日と決まった。最高裁第一小法廷(横尾
和子裁判長)が関係者に伝えた。下級審の判断を見直す際に必要な弁論は開かれて
おらず、高嶋教授が逆転敗訴した二審判決が確定する公算が大きい。
訴訟は、故家永三郎・東京教育大名誉教授による一連の教科書裁判を引き継ぐ形で
93年に起こされた。89年に検定制度が簡略化された後、初めて検定の適否が争われた。
問題となったのは、高嶋教授が91年に「新高校現代社会」(一橋出版)で執筆を担当
した「現在のマスコミと私たち」「アジアの中の日本」。一審・横浜地裁は4カ所の記述に
対する検定意見のうち、二つについて「裁量権を逸脱し違法だ」として20万円の支払い
を命じたが、二審・東京高裁はこれを取り消して請求を棄却した。
一審判決が違法としたのは(1)福沢諭吉の「脱亜論」とアジアに好意的な勝海舟の
「氷川清話」を対比させた記述について「都合のいいところだけ抜き出した」との指摘
(2)湾岸戦争の掃海艇派遣で「東南アジア諸国から事前に意見を聞いて欲しかったと
いう声が相次いだ」との記述に対する「低姿勢過ぎる」との指摘――の2意見。それぞれ
「学説状況の把握が不十分」「検定基準が不明」と判断した。
高嶋教授は検定制度自体の違憲性を主張したが、一、二審とも合憲と判断していた。
高嶋教授は「上告から3年半も待たされて口頭弁論もなく確定するのは納得できない。
問題だらけの教科書行政を合法とする最高裁は信頼に値するかどうか、判決そのものを
教材にしたい」との談話を発表した。