>>305-306 東シナ海石油ガス田 中国が本格生産開始 日本無視、着々と既成事実
産経朝刊 9月21日
ttp://www.sankei.co.jp/databox/n_korea/nkorea_53_1.htm 中国政府系の石油開発会社「中国海洋石油(CNOOC)」が、東シナ海の日中中間線
付近で開発を進めている石油ガス田で本格的な生産を開始したことが二十日わかった。
日本政府は「日本側の地下資源とつながっている可能性がある」として開発中止などを
求めてきたが、中国側はこれを無視して開発の既成事実を積み重ねている。政府には
抗議以外に打つ手がないのが実情で、エネルギー権益確保のあり方が改めて問われ
そうだ。
◆海自機が確認
生産が始まったのは、日中中間線付近の三つの石油ガス田のうち、施設整備が先行
していた「天外天」石油ガス田。十九日午前十一時ごろ、海上自衛隊のP3C哨戒機が
監視飛行中、天外天の採掘施設の煙突から、石油や天然ガスの生産時に余剰成分を
焼却する「フレア」という炎が上がっていることを確認した。
中川昭一経済産業相は二十日の記者会見で、「きちんとした対応をとるべく政府部内
で準備している」と述べ、外交ルートでの抗議などの検討を明らかにした。
政府が東シナ海で実施した海底資源探査では、「春暁(日本名・白樺)」「断橋(同・楠)」
の二つの石油ガス田で日本側まで連続している構造を確認。やや中国寄りに位置する
天外天では確認されなかったが、日本側とつながっている可能性は高いとみられている。
◆日本側は後手
これまで外務、経産両省は中国に対し、一貫して資源開発の中止を要請。昨年十月と
今年五月には両国の局長級協議が行われたが、平行線のまま中断している。
協議の早急な再開を求める日本側に対し、中国は「北朝鮮をめぐる六カ国協議のため
多忙」などとして再開を先送りする一方、開発は予定通りに進めてきた。既成事実を積み
重ねる中国に対し、日本側が後手に回ってきたことは否めない。
>>347 つづき
ただ、開発は中国側海域で行われているため、日本が法的に阻止することは事実上
難しい。実際に生産が始まったことから、政府は「資源の取られ損を防ぐ」(経産省幹部)
実利的対応も迫られることになった。
このため政府内では、一帯を両国の共同開発とし、中国の単独採取分は金銭による
「補償」を求める代替案も浮上している。今後の協議では、新たな“交渉カード”が焦点
となりそうだ。
◆背景に領海問題
一方、最近は「春暁」付近で中国海軍のミサイル駆逐艦が航行したり、東シナ海上空
の日本の防空識別圏に中国軍機が侵入するなど、「中国側の示威行動」(政府筋)が
活発化している。
もともと中国は昭和四十五年に海底資源が確認されてから東シナ海に関心を示し、
同海域で尖閣諸島の領有権を主張し始めた。石油ガス田問題も「中国にとって領海や
大陸棚の権益確保の一環」(日本政府筋)とみられ、「尖閣は別問題」「軍事行動はあり
得ない」とする日本側との認識の差は際立っている。
春暁の確認埋蔵量は日本国内の天然ガス消費の一カ月分に過ぎず採算性は低いが、
中国は国策企業で開発を急いできた。これに対し日本政府は、今年七月にようやく民間
企業の試掘を許可した段階にとどまっている。貪欲(どんよく)に海洋権益確保を目指す
中国に対抗するため、日本にも明確な国家戦略が求められている。