産経社説:【主張】6カ国協議 「平和利用」は信頼が先だ 9月14日
ttp://www.sankei.co.jp/news/050914/morning/editoria.htm 北朝鮮の核問題などを協議する六カ国協議が再開された。「核の平和利用」を認
めるか否かをめぐって米朝間の主張の隔たりが大きく、協議の行方は予断を許さない。
北朝鮮は、「核の平和利用は国際法上の当然の権利だ」「経済発展につれ強化す
る必要がある」(六日付「労働新聞」)などと主張し、一九九四年の米朝枠組み合
意に基づく軽水炉建設再開などを求めている。
確かに原子力の平和利用の権利は核拡散防止条約(NPT)第四条で認められて
いる。だが、それは核兵器開発の禁止(第二条)、査察の受け入れ(第三条)など
の義務履行が条件だ。二〇〇三年にNPT脱退を宣言して、義務を果たしていない
北朝鮮に国際法上の権利を主張する資格はない。
まして、北朝鮮は米朝枠組み合意を破り、平和利用の名のもとでひそかに核兵器
開発を進めてきた“前歴”がある。信頼が得られない限り、平和利用も認められな
いとする米国や日本の主張は当然である。
要するに、北朝鮮は体制の維持のためには、何としてでも核兵器開発を継続する
のではないか、という疑念がぬぐえないのである。
北朝鮮が核の平和利用の権利を認められるためには、最低限、NPTへの復帰、
抜き打ち査察を可能にする国際原子力機関(IAEA)の追加議定書の調印・批准
が必要だ。そのうえで、欺瞞(ぎまん)を許さない徹底した検証態勢の確立と受け
入れが不可欠である。
北朝鮮にとっては、まず「すべての核兵器および核計画の検証可能な廃棄」を実
行し、国際社会からの信頼を得ることが先決だ。そうすれば北が何よりも望む経済
援助、「安全の保証」なども可能になるし、各国はすでに約束している。
ただ、日米を含む国際社会からの本格的な経済援助は、米朝、日朝の国交正常化
がなくては始まらない。だが、米国は「北朝鮮の人権問題の解決」を、日本は二〇
〇二年の日朝平壌宣言に基づく「拉致問題の解決」を前提としている。
六カ国協議は核問題だけで片付くものではないのだ。人権、拉致問題の解決なく
して六カ国協議の成功もないということを北朝鮮だけでなく、中国、韓国、ロシア
も知るべきである。