反日騒擾の動機:粗暴な中国の国連改革妨害
温家宝中国首相が南アジア訪問で見せた人懐こさと、
北東アジアの隣人日本に対して中国が示した振る舞いは、際立った対照をなしている。
先週末生じた反日デモは、韓国で起きた同様のデモと共に、
この地域で将来発生するであろう緊張を警告しているだけではない。
これらは世界全体の統治と国連機構のありかたに深い意味を持っている。
中国のデモは民衆の手によるものであることは間違いないが、
当局の黙認のもとに行われたことは疑いがない。
昔からある、日本の中国占領の記述をめぐる教科書問題は単なる口実であり、
今回の騒乱のおもな引き金は、日本の国連常任理事国の座への取組である。
学生が国内の不正に対する怒りのはけ口を、当局でなく外国人に向けるというのは、
常に憂慮すべき兆候であり、自らの失政から目をそらさせるために
国粋主義的感情を煽り立てにつながっていくのである。
日本の過去の罪について謝罪を求めるという行為は、極めて選択的に行われている。
日本が人々が望むほど懺悔していないのは事実であるし、
いくらかの戦犯が祭られている靖国神社への首相の参拝は、下手な外交ではある。
しかし、例えば、
非常に多くの英国の教科書は、阿片戦争や夏宮の破壊について中国の見方を一顧だにしていない。
同じように米国の教科書はフィリピンの「文明化」統治中に発生した虐殺を無視している。
エリザベス二世はアムリッツァールの虐殺をインド人に謝罪していないし、
大英帝国が行った血にまみれた搾取を記念する銅像はロンドン中いくらでもある。
また、北京政府が忘れたがっている事実として、中国と韓国以外のアジアでは、
日本帝国主義は欧米帝国主義の終末を早めるものとして歓迎されていたということがある。
日本をさらに土下座させたがっている韓国について言えば、
経済発展の奇跡を実現したとして幅広い人気を集める朴正煕大統領が
満州国駐留の日本軍将校だったことを忘れたがっている。
ソース:ヘラルド・トリビューン(原文英語)
http://www.iht.com/articles/2005/04/11/opinion/edbowring.html