【極東】北朝鮮総合スレ（旧北朝鮮実況）part878

2004. 08. 06 読売東京朝刊
［視角］「反日」甘えの構造　中国総局長・藤野彰
　サッカー・アジア杯における中国人観衆の反日行為が日中間で外交問題化してい
る。「経済は熱いが、政治は冷たい」と形容される現在の日中関係を象徴する事態
だ。
　中国人観衆の行為の背景として、中国当局の伝統的な反日教育や国民総動員型の
愛国主義発揚があることは疑いない。今の中国社会には、公の場で日本をあからさ
まに侮辱する行為を許容する空気がある。
　多くの対日関係者が口にすることだが、中国では公平な立場から日本を擁護、弁
護する行為はたいへんな勇気を必要とする。日本と中国は国交を回復してすでに三
十年以上。両国間の貿易は世界屈指の規模に成長したが、それでも自由に日中関係
を論じる空気は社会にない。
　その結果、中国当局やその指導下にあるメディアは、客観的かつ公平な「日本（
人）像」を国民に提示する努力を怠っている。
　中国人観衆の反日行為は七月二十日に重慶で行われた初戦の日本―オマーン戦か
ら顕著だったが、中国政府、メディアはまったく問題視しなかった。中国外務省が
やっと公式声明を出したのは今月四日だ。
　中国主要各紙の中で四日までに正面から問題を報道したのは共産主義青年団機関
紙「中国青年報」だけ。党機関紙「人民日報」を始めとした他紙はだんまりを決め
込み、国民に警鐘を鳴らさなかった。

>>285　続き
　社会には「反日」なら、ある程度羽目を外しても大目に見てもらえるといった甘
えがある。スタンドで「反日」を叫んだ中国人観衆は、まさにそういう気分だった
はずだ。
　中国当局がこうした状況を作りだしている理由は対日外交戦略上、「歴史カード
」が依然として有効だと見なしていることにあると見ていい。中国側には、日本の
過去を批判し、圧力をかけることで日本の「政治大国化」「軍事大国化」をけん制
していきたいとの思惑がある。その戦略に立てば、「反日」という国民世論の存在
は、カードを維持するための絶好の後ろ盾であり、対日圧力の口実ともなる。
　また、指導部が日本に対して軟弱姿勢をとれば、軍を中心とした対日強硬派勢力
の反発を食らい、政局の安定維持に支障が出るという、中国の特殊な内部事情もあ
る。したがって、指導部が仮に対日政策の大幅な修正に乗り出すとした場合、それ
は国内政治的に大きな賭けであり、現実にはそれに向かって踏み出すことは極めて
困難だと言える。
　今回の騒動で日中の立場が逆だった場合、中国側は官民挙げて激しい日本たたき
を展開したに違いない。中国の歴史的、政治的立場はともあれ、不当な行為を前に
「日本だからかまわない」といったムードを放置し続けることは中国の長期的利益
にならない。中国当局は小手先の処理で終わらせず、そのことの重大性を十分認識
しなければならない。