【極東】北朝鮮総合スレ(旧北朝鮮実況)part849

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360広島在住
おはようございます。
例の奴、後半来ました。うPします。

’04キーワード 探方 愛国(下)
(1)
「感じるのだ歴史を!身体に宿る日本人の感性を呼び戻せ!」
(小林よしのり著「新ゴーマニズム宣言SPECIAL戦争論3」)
「先祖の活躍に心踊らせ、苦楽を追体験出来る日本人の物語」
(「新しい歴史教科書を作る会」意趣書)
新たな保守層
従来の歴史観を自虐的と批判する新しい保守層の表現は、
例えばこんな形を取る。要求される愛国の形。
なぜ、「国民の歴史」が今、魂を揺り動かす物語として、
夢見られなければならないのか。
「戦後のナショナリズムは当初、保守政権に対抗する進歩勢力の中に
存在した。しかし高度成長で大衆社会が成立すると、『愛国』は保守の
専売特許になっていく」。
戦後思想の大きな流れをたどった小熊英二の大著「<民主>と<愛国>」は、
「愛国」と「国家」といった言葉は以前、今とは全く別の響きを
持っていたとの指摘に始まる。

361広島在住:04/03/29 06:44 ID:KCPwb9az
(2)
小熊によると、戦後初期に使われた言葉に「民族の創造」や「国民主義」などがある。
階層や地域の格差が大きい中、戦争の記憶を核に「国民意識」を
どうつくり出すかが語られ、「愛国心」が称賛された。
その後、朝鮮戦争などを経て、反米や平和主義などを掲げる「憲法愛国主義」が
生まれる。
小熊は1960年の安保党争を「民主と愛国が結合した心情の最大にして最後の噴出」
と見る。
しかしその心情は、高度成長後の社会で拡散していく。
「階層や地域の文化格差が解消されると、『日本人』という均一なまとまりは、
目指すべき目標では無く事実として表れる。一方、大衆社会状況へのいらだちが、
戦後民主主義を体制内的だと批判する学生反乱をも生み出した」

「国民」の解体
政治学者の姜尚中は80年代の日本人論に、その後の「愛国」の表現を見い出す。
「日本は特別だと言う言い方は、経済的に成功した日本のナルシシズムを満足させる
役割を果たした」
90年以降、構図は再び大きく変わる。バブル経済が破綻し不況が訪れ、社会の階層化が
指摘される。阪神大震災やオウム真理教事件は、社会の安定神話を突き崩した。
362広島在住:04/03/29 07:02 ID:KCPwb9az
(3)
「生活世界を支える感覚が変わった。ホームレスを始め異質な存在を理解不能とみなす
社会の文化、差異化が進み、リスクに対しどう安全を図るかと言う関心が、浮かび上がってきた」
それは福祉国家から小さな政府へという、国家の枠組みの変化とも対応した。
「医療など福祉国家の役割が縮小される一方、治安の強化と倫理の強制が進む」
そこで台頭したのが、国家に求心力を持たせようという主張だ。しかし、姜は
「支える基盤になるはずの「国民」は新たな格差と差異化の広がりで、実際には解体して
しまっている」と喝破する。

時間の隔たり
変遷する「愛国」の今の姿は。
小熊は分析する。「社会への不安やいらだちを言い表わす言葉が無く、取りあえず鉾先を
戦後民主主義に向け、『愛国』を対置する。それは『革命』を掲げた学生反乱が、
戦後民主主義批判に向かったのと同じ構造だ」
そして日本という物語の中心に、戦争の記憶が呼び戻された。
「戦争から時間が隔たり、戦争体験のない世代が台頭したことがそれを可能にした。
戦争は実際の体験を離れ、イメージとして美化される」と小熊は見る。
姜も、「明治のナショナリズムのように固まったものでなくつかみどころのない非決定な気分。
国家がアイデンティティーの帰属先になるという、戦後社会では異例な自体が今起きている」
と言う。
不安な自分から逃れるため、現実から離れた日本の物語を夢見る「愛国」幻想。
それは、居所のない不定形な心情を抱え、現代社会をさまよっている。

(敬称略.金子直史=共同)