394 :
日出づる処の名無し:04/08/11 13:24 ID:eywCawhN
死んで守ったアイデンティティーが日本は箱だけがあって、中心がなくなってしまっているということか?
箱を国家だと考えると、普通なら箱が中身の間尺に合うかどうかが問題になる。
つまり国家が国民のために機能しているかどうかを検討することが当たり前になる。
でも、日本では中身はどうでもよくて、箱がすべて。
「崇高なる魂に一体化するべく命懸けで国体にコミットする臣民を作り出す」から
「国民のすべてが死んでも守られる国体の本義がある」という発想が生まれる。
国家が国民のためにまともに機能しているのであれば、国家の命令で戦場で死ぬことは、
間接的に国民ために死ぬことになるが国家なるものがまともかどうかを検証しようじゃないか
というものがない。
明治初期の人たちはリアリストで「天皇機関説」では「国民のための天皇であり得ないなら討ってよし」が
公言する者こそわずかで常識としてあった。
昭和になると妄想的になっていき水戸学ルーツの純粋国体思想のごときの単なるネタが
ベタに信じられてしまうようになる。
日本には本来は現実主義的にならないと救われないはずなのに、
逆に精神主義的になる悪いクセがあるがこれが日本国のアイデンティティか?
遺 書
天草海軍航空隊
特別攻撃隊区隊長
海軍少尉 須藤竹次郎
御両親様
長い間お慈み下され誠に有難う存じました。
今日の光栄を得たのも偏に皆様のお陰と幸福なりし歩を竹次郎は心からお礼申し上げます。
何時も御迷惑をおかけしたばかりにて何等為すところなく今日まで過ぎ甚だ残念でありま すが、
一撃必沈を以って皆様の御恩に報いる覚悟であります。信念の下必ず日本男児らし く須藤家の人間らしく全力を挙げて突撃致します。
青年の熱と意気こそ必勝の基なりと信 じ勇んで征きます。肉体は亡びるとも魂は不減、靖国の空から帝国の必勝と皆様の御多幸 をお祈りして居ります。
御両親様、呉々もお体大切に、御無理なさっては駄目です。何時までもお元気でお暮し下 さい。
泣かないで下さい。よくやったと笑ってほめて下さい。
種々お考へになるのはお体 に毒です。
では元気で征きます。 終
尚、恩師はじめ諸先生、親戚同級生各位に宜しくお伝へ下さい。では御機嫌宜しく。
出撃を前に 二十日昼
竹次郎
396 :
日出づる処の名無し:04/08/11 14:33 ID:TIO//QHK
童貞の
ままで行ったか
損な奴
シンプルだけどこーゆうののほうが
グッとくる。信念とか必勝とかはなんか
地に足がついてないような気がしてさ。
397 :
日出づる処の名無し:04/08/11 14:53 ID:ZVSdC4ob
∵(゚ε゚ )ウブッ
398 :
日出づる処の名無し:04/08/11 15:23 ID:cAbzqCYJ
399 :
358:04/08/11 16:15 ID:BrZt1Tk2
>396
特攻出撃の前に基地司令が
「童貞者は申し出よ! オレが面倒見てやる!」
という一幕があったらしい。
ソースはなんだったかなあ……
ちなみに泡の出るお風呂に連れて行ってやるという意味で、ウホ!じゃないよ。
400 :
(゚ε゚ ):04/08/11 16:16 ID:ZVSdC4ob
401 :
日出づる処の名無し:04/08/11 16:47 ID:rVAAOLV8
>>400 夫は出撃前、石川さんにあて遺詠を残していた。
ゆかしき心もて 銃後に備えよ 大和なでしこ
59年たって、石川さんは最近、返歌をつくってみた。
なでしこよとわれに遺(のこ)して出で征きし 夫の心に添はむとおもふ
(;´д⊂)
特攻の是非など
つまり残された人間の行動を数やイデオロギーの範疇ではないところで判断すべき。
アーリントン墓地が正義で靖国が不正義などという善悪の範疇外なのは無論です。
それと犬死とは本人が死んでも泣いてくれる人間がいなかったり、祀ってくれる場所がなかったりという
意味ではないだろうか。
サヨクの皆さんの郷愁・赤軍ソ連は犬に爆弾を括り付けてナチスの戦車に「特攻」するという
まさに「犬死」を実践させてたりしてたそうだし、
中国共産党の八路軍は孤児に爆弾を持たせて日本人を爆殺したり。彼の「国家」には
「死んでいった者」に対する尊厳の礎なり連綿とした継承などはないだろう
靖国で死んだじいちゃんに手を合わせる なぜイチャモンつけるのだ
403 :
日出づる処の名無し:04/08/12 09:19 ID:k4pWxAE2
遺詠を口語訳すること自体が無粋だと重々思うも、
やってみると改めて深く感じることがあるな。
『「大和撫子たちよ、奥深く美しき心をもって、戦後の日本を再興しなさい」
そう言い遺して散華した、夫の心に応えたいと思う。』
404 :
日出づる処の名無し:04/08/12 11:29 ID:0WkL2RRp
>>402 >それと犬死とは本人が死んでも泣いてくれる人間がいなかったり、祀ってくれる場所がなかったりという
>意味ではないだろうか。
いぬ・じに【犬死に】無益に死ぬ事。むだじに。
国家とは国民の共同体とその財産を守る為に存在している。
個人の尊厳とは自己責任によってなされた試行錯誤をしてきた結果
つまり自由の結果、積み重ねられた、自信や自尊心です。
そうすると今度は、人が自由に振る舞うためには、いろいろな条件が必要です。
何か問題のあるやつがいたら警察が捕まえてくれるとか、様々な信頼関係がなければいけない、
そのような信頼を支える公共財です。
人々が自由に振る舞うために、苦心して作り上げてきた道具が国であるはずなのに
崇高なる国家と一体化するという形で尊厳を保とうとした為に
「国民が全部死んでも国の本質は守られる」というデタラメがまかり通てしまった。
つまりお国の為に死ぬと=犬死にということ。
もう一度
>>392を読め
>日本は植民地にならないための政策として国民国家にしているわけで。
>国民国家に献身する市民を作り出すのが「国民化」だけど、その国民化が、
>「国民益を増大するべく命懸けで国家にコミットする市民を作り出す」のではなく、
>「崇高なる魂に一体化するべく命懸けで国体にコミットする臣民を作り出す」という形でなされていて、
>その結果としての国民国家化であるわけです。
405 :
日出づる処の名無し:04/08/12 13:44 ID:SSTR4lmb
>>404 宮台の丸写しはやめて、出て行ってくれないか。
ここは、特攻の是非を語るところではない。
>404
馬鹿か アホ歴史教科書みたいな一元論を語って
たるいロジックで「いぬ・じに【犬死に】無益に死ぬ事。むだじに」などと締めくくるな
当時の体制の善悪を論じてるんじゃないよココは
あんたの行為は慇懃無礼に最後は他人の墓に唾を吐く三国人か外務官僚と同じだ
戦前 国体が大事か個人が大事か当時に論議される必要もないし 余地もない
なぜなら1945までラストサムライは存在し認知されていたというだけのことだ
そして文化を侵害する外国人には死を盾にするぐらいでないと尊敬されないということだ
407 :
日出づる処の名無し:04/08/12 18:29 ID:0WkL2RRp
はぁ?
当時の体制の腐敗を理解し特攻=犬死にと認識するからこそ
彼らの声に潜む真の葛藤を読み取すことができるんじゃないの?
それこそが、特攻隊員に対する真のレクイエムなるんだろうが。
他人の墓に唾を吐くってことは犬死にという事実を無視して悪戯に美化する事じゃ無いのか?
408 :
日出づる処の名無し:04/08/12 18:54 ID:QRKgU9EB
真顔で「ラストサムライ」とか言っちゃうのは寒いを通りこして痛いよなあ
いったい何時の間に特攻は『犬死』であるということが『事実』になったのかね?
特攻を『美化』する?
いったいだれが、『特攻はすばらしい、我も皆も倣って特攻しようではないか』
と言っているのかね?少なくとも隊員が残した文書からは感じられないが。
君が言っているのかね?
>いったいだれが、『特攻はすばらしい、我も皆も倣って特攻しようではないか』
>と言っているのかね?
>>406が言ってないか?
>そして文化を侵害する外国人には死を盾にするぐらいでないと尊敬されないということだ
411 :
日出づる処の名無し:04/08/12 20:07 ID:MlCHv0hz
>>407 >当時の体制の腐敗を理解し特攻=犬死にと認識するからこそ
腐敗しているがどうか分かっていたかどうかはわからんだろ。
『犬死』これは英霊には失礼な言い方だな。
犬死ではない。
徹底抗戦は、日本国の降伏交渉に多いに役に立った。
>他人の墓に唾を吐くってことは
儒教社会に産まれた外国人の君には普通かもしれんが、日本人はそんなことはしないよ。
412 :
埼玉県民jp:04/08/12 20:21 ID:cAKNko8G
まぁまぁ。
特攻の作戦自体は褒められたものではないでしょうが、
特攻した人の精神性は認めても良いかと思われ。
413 :
日出づる処の名無し:04/08/12 21:17 ID:nkqdgchH
>>400 特攻隊長に59年後の返歌…妻、歌集ささげる
>>
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20040811i407.htm 赴任する夫のマントにくるまれて 生み月の身をシートに臥(ふ)しゐつ
赴任の列車。公務の夫は2等、石川さんは3等車と分かれたが、夫は駅に着くたびホームに降り、窓越しに妻の体調を気遣った。泊まり込みの週番勤務の時は、忘れ物にかこつけて従卒に様子を見に来させた。
つましくも、幸せな暮らし。
単身で行ったのは、2人目を身ごもっていた妻への思いやりだったろう。これが別れとなった。
夫の新任務は、特攻だった。
夫は教官としての立場から、教え子ら11人で編成された「第62振武(しんぶ)隊」の隊長に志願したという。
死を知り、香川の夫の実家に帰り着くまで、汽車の中、声を殺し、泣き続けた。
母の悲しみが伝わったのか、背中の二男はぐずり声ひとつたてなかった。
破れたる国の遺族に戦犯と 等しく降りいず視線冷たき
戦後は一変、特攻隊やその家族は白眼視さえされた。故郷の役場に職を得たが、幼子2人を抱え、生活に追われた。赤痢を病み、死線をさまよう不運にも遭った。
59年たって、石川さんは最近、返歌をつくってみた。
なでしこよとわれに遺(のこ)して出で征きし 夫の心に添はむとおもふ
414 :
413:04/08/12 21:32 ID:nkqdgchH
>>400 の内容に関してカメレスですが・・・
時代が課した試練に勇敢にも真っ向から立ち向かった男と女の物語・・・・
この同じ時代に生まれ、同じように運命と戦いぬいた方々に改めて心より感謝し、尊敬申しあげます。
その御心は、美しい日本そのものであり、今の日本人が世界に誇ることができる偉大な鑑だとおもいます。
8月15日は靖国へ行こうっと。
あと、こういう人々を追い詰めた左翼はホントどっか逝ってください。
人間、あそこまで腐った魂の鑑ではあるかもしれんが。
415 :
日出づる処の名無し:04/08/12 21:54 ID:0WkL2RRp
>>411 > 腐敗しているがどうか分かっていたかどうかはわからんだろ。
誰も特攻隊員をどうこう言っている訳では無い。
だから
>『犬死』これは英霊には失礼な言い方だな。
これは無い。
なぜなら犬死にさせられた上にその自覚がないからだ。
そして
>徹底抗戦は、日本国の降伏交渉に多いに役に立った。
これは国家の裏切り行為だ。
>>392を読み直せ。
まさしく「戦車で国民を踏みつぶすがごとし」。それでも「国のため」が通用したのです
>人々が自由に振る舞うために、苦心して作り上げてきた道具が国であるはずなのに
そんな国が過去も現在もどこにあるのか教えてくれ
建前を掲げて数千万人粛清した国はあるにはあったが あんた馬鹿ですか
つか あのさ このスレに来なくていいじゃん
417 :
日出づる処の名無し:04/08/12 22:13 ID:ejwbNzNM
今の歴史教育が続けば、まさに「犬死に」になってしまうわけで、、、、
日本の司令官達は
>>392の通りだったが、特攻隊員の遺書を見てみると、父、母、兄弟、友達、
その他自分を取り巻く人々を守るためって気持ちが滲み出てる気がする。
>411
「英霊に失礼」とかいうな。死人に自分の意志を仮託するな。
それは容易に「ここで**することは死んでいった英霊に申し訳が立たない」といういつかしでかしたヘマに繋がるぞ。
この世界は死んだもののためにあるんじゃなくて、今生きてる人間のためにある。
だから、死者は地下に静かにおいといてやろう。
地上から勝手に「犬死にだ」「いや犬死にじゃない」とか言いつづけようぜ。それが万人のためになる。
↑
唯物論で正体を露呈したと思われ ごくろうさんゾンビさん
421 :
日出づる処の名無し:04/08/12 23:24 ID:MUz++dvi
「日本を昔日の大英帝国の如くせんとする私の理想ハ空しく敗れました。
この上ハ只、日本の自由、独立の為、喜んで命を捧げます」
この上原良司少尉の一言が真実をえぐり出している。
日本が戦時体制に入る前は、自由主義を目指していたこと、
検閲で政治的な意見が特に消されたりはしなかったことがわかる。
「人間にとってハ一国の興亡ハ、実に重大な事でありますが、
宇宙全体から考えた時ハ、実に些細な事です」
そして続く文章、あまりの心の広さに圧倒され、感涙しました。
422 :
日出づる処の名無し:04/08/12 23:25 ID:QQj1Hzks
>>412 同意。
問題は特攻を通常戦法に組み込んでしまったことにある。
もっともそれを決定した人は「統率の外道」であったことを自覚していて、
戦後責任を取って自決したらしいけど。
ま、時代の空気もあったんだろうけどな。
志願制ではあったが、「日本人なら志願するのが当然、しないやつは
非国民」みたいな空気。
陸軍兵長 志水正義命
御国の為に戦死致し、神として靖国神社に祭られ同胞より拝しられるとは
なんたる幸福であろう。(中略)
淋しいから又再婚すると申せば俺は何ともいわず九段の花の下より
お前の幸福を祈っている。
陸軍少尉 高野 丈夫命
私もとうとう男一匹として大東亜戦争に参加出来、只今靖国の神として
桜の花も美しき九段の靖国に参る事ができました。・・・
私は今ちゃんと護国の神として靖国の御社にとこしへに生きて居ります。・・・
御父様、御母様の後には常に僕が居ります。・・・
今迄は私が時々帰省して楽しくお話をし、食事をしていました。
今度はどうか御両親様も時々靖国の社頭に来て下さいまで。
そして又あの時のように、楽しくお話をし、楽しく食事をしようではありませんか。
海軍大尉 諸井 國弘命
凡人でも立派にやる事だけはやって、御期待に副います故御安心下さい。
今度敵空母撃沈の報があれば、國弘は靖国神社へ行ったと御思い下さい。
海軍飛行兵長 川上 賢一命
此で何も思い残す事はありません。何事も天命と覚悟は致して居ります。
「桜花散りて靖国の宮柱となる」
海軍上等主計兵曹 小島 幸美命
「我は海の子 白波の」 海に育ちて海に散り
九段の社にかへり咲く 日本男子の大理想
生きて再びかへらぬ身 聖戦完遂したならば
清き姿で靖国に 会ひに来る日を待ってゐる
「今日は先ずこれまでなりと囲碁置き」
「夕食は貴様にやると友は征き」
「犬に藝教へおほせて友は征き」
「神様の大飯くひに唯あきれ」
「貸し借りは貸し借りなりと堅い奴」
「万歳が此の世の声の出しおさめ」
「別れ酒もう一杯と強い奴」
「俺の顔青い色かと友が聞き」
「必勝論、失敗論と手を握り」
・・・日常のつづきっぽくて哀しくてやりきれない。
海軍大尉 町田 道教命
それから若い盛りの綾子にも大分苦労をかけました。化粧もせず、着物もきず、
ただ家の為に働いてくれるのを思ふと全く頭が下がります。
よい婿さんを見つけてやって下さい。サエ子ちゃんも素直によい子になる様
お願い致します。私も靖国神社からそれを祈って居ります。
海軍少佐 福山 正通命
たらちねの ちちはは迎へむ 靖国に 明日はゆくなり 南冥の空
陸軍少尉 浜田 斎命
今までの御恩は敵艦にてお返し致します。では皆様お元気にて。
斎は男子の本懐これに過るはなしと喜び笑って死んで行きます。
では次は靖国にて。
海軍少佐 高野 次郎命
皇国よ 悠久に泰かれと 願ひつつ 桜花と共に 靖国に咲く
海軍大尉 宮井 道洲命
只今充分膝下に孝養を尽せなかったことを残念に思っております。
たとえ水漬く屍とならんとも、靖国の神となって御鴻恩に報い申し上げます。
陸軍大尉 都子野 順三郎命
靖国の み魂と共に吾も亦 幾世をかけて み国護らむ
陸軍曹長 高橋 武夫命
今度逢うのは靖国神社の社頭であろう。私が名誉の戦死も国のため、
又皆が銃後をしっかり守るも国の為、共に祖国の為につくそう。
海軍中尉 小澤 七兵衛命
墓場の蔭から国家の隆盛と御両親様の御多幸をお祈りします。
靖国神社でお目にかかりましょう。
海軍少尉 齋藤 幸雄命
何も思い残すことはありません。ただ、万歳あるのみです。
お母さん、きっと桜咲く靖国神社に来てくださいね。
陸軍伍長 広島 鶴雄命
南国の花と散る鶴雄の最後の便りです。そうして来春は楽しく桜花の下、
靖国神社でお逢いしましょう。では皆様元気で、さようなら。永久に。
相花信夫 18歳 少尉
母を慕いて
母上お元気ですか
長い間本当に有難うございました
我六歳の時より育て下されし母
継母とは言え世の此の種の女にある如き
不祥事は一度たりとてなく
慈しみ育て下されし母
有難い母 尊い母
俺は幸福だった
遂に最後迄「お母さん」と呼ばざれし俺
幾度か思い切って呼ばんとしたが
何と意志薄弱な俺だったろう
母上お許し下さい
さぞ淋しかったでしょう
今こそ大声で呼ばして頂きます
お母さん お母さん お母さんと
第七七振武隊として昭和二十年五月四日出撃 戦死
海軍少尉 藤田暢明命
おれは本当に幸福の中の幸福な男と思う。
睦重なくしておれなく、おれなくして睦重なし。
おれはお前をだれよりも愛するであろう。どうかおれの親へのご孝養をおれに代わってつくしてくれ。
睦重! 睦重! お願いします。
いよいよ待望のときが来た。昭和二十年五月十四日薄暮より開始せられる菊水七号作戦中、特攻隊の最先鋒を征くのだ。
男子の本懐これにすぐるものなし。睦重も、優しい敬愛する睦重もおれと一緒に祝福してくれ。
おれは幸福だ。世界中ただ一人の最も優しい最愛の妻睦重と、どこまでも征けるのだ。
これからの生涯においていかなることがあろうともおれは断じて愛する睦重を守り通さんことを今固く誓っておく。
暢明を信ずべし。信じうる者は常に強ければなり。
歌心あれど歌なきをいかにせん。歌わんとするわが心中の歌を察せよ。
何かおれに知らせたきことあれば作物に向かい述ぶるべし。
睦重、畑におらばおれは作物の中におらん。
睦重、これで失礼する。先にいくことを悪く思うな。許せ。
ではくれぐれも身体に気をつけて一日も早く土になりきるよう、またご両親、祖父母様のお世話をよろしくお願いする。
真の幸福とは現在の我が身の味わいつつあるものを言う。新しき者、睦重の幸福を、頑張りを祈ります。
優しいわが愛妻睦重! 来世も次の世もまた次の次の世も暢明の妻となってくれ。
睦重、睦重、睦重。優しいお前をだれよりもおれは愛する。睦重さようなら。
むつゑ、睦重、睦重、睦重! 優しい優しいただ一人の睦重さらば!
神風特攻隊筑波隊 昭和二十年五月十四日出撃 戦死
伍長 大石 清命
なつかしい静(しい)ちゃん!
おわかれの時がきました。兄ちゃんはいよいよ出げきします。
この手紙がとどくころは、沖なは(縄)の海に散ってゐます。
思ひがけない父、母の死で、幼ない静ちゃんを一人のこしていくのは、
とてもかなしいのですが、ゆるして下さい。
兄ちゃんのかたみとして静ちゃんの名であづけてゐたいうびん (郵便)通帳と
ハンコ、これは静ちゃんが女学校に上るときにつかつて下さい。
時計と軍刀も送ります。これも木下のをぢさんにたのんで、売ってお金にかへなさい。
兄ちゃんのかたみなどより、これからの静ちゃんの人生のはうが大じなのです。
もうプロペラがまはつてゐます。さあ、出げきです。ではお兄 ちゃんは征きます。
泣くなよ静ちゃん。がんばれ!
第6航空軍特攻隊 沖縄洋上の艦船に突入、戦死
大石伍長からの遺書を託された兵からの手紙
大石静恵ちやん、突然、見知らぬ者からの手紙でおどろかれたことと思ひます。
わたしは大石伍長どのの飛行機がかりの兵隊です。伍長どのは今日、みごとに出げき(撃)されました。
そのとき、このお手紙を わたしにあづけて行かれました。おとどけいたします。
伍長どのは、静恵ちやんのつくつたにんぎやう(特攻人形)を大へん だいじにしてをられました。
いつも、その小さなにんぎやうを飛行服の背中につつてをられました。
ほかの飛行兵の人は、みんなこし(腰)や 落下さん(傘)のバクタイ(縛帯)の胸にぶらさげてゐるのですが、
伍長どのは、突入する時にんぎやうが怖がると可哀さうと言つておんぶでもするやうに背中につつてをられました。
飛行機にのるため走つて行かれる時など、そのにんぎやうがゆらゆらとすがりつくやうにゆれて、
うしろからでも一目で、あれが伍長どのとすぐにわかりました。
伍長どのは、いつも静恵ちやんといつしよに居るつもりだつたのでせう。
同行二人・・・・仏さまのことばで、さう言ひます。
苦しいときも、さびしいときも、ひとりぽつちではない。いつも仏さまがそばにゐてはげましてくださる。
伍長どのの仏さまは、きつと静恵ちやんだつたのでせう。
けれど、今日からは伍長どのが静恵ちやんの”仏さま”になつて、いつも見てゐてくださることゝ思ひます。
伍長どのは勇かんに敵の空母に体当たりされました。
静恵ちやんも、りつぱな兄さんに負けないやう、元気を出してべんきやうしてください。
さやうなら