そもそも、「国民皆兵」というのは、民主主義と対になっているんですよ。
古代ギリシアや共和政ローマにおいて、「市民」とは、「自覚した戦士の共同体」でした。
自分たちの共同体のことは、自分たちでやる。
それが政治に反映されたのが「民主主義」であり、
防衛に反映されたのが「兵役義務」でした。
ローマが共和政から帝政に移行したのは、ローマの拡大により市民が疲弊し、市民よりも傭兵による常備軍の方が主流になっていったからです。
また、フランス革命における「民主主義・国民国家」の精神が、ヨーロッパ全土に波及していったのはなぜだったか。
それは、ナポレオン軍の国民皆兵による軍隊の強さを目の当たりにしたからです。
現在は、必ずしも民主制の国が徴兵制をとっているわけではありませんが、
民主主義の原点というのは、「自分たちのことは自分たちで決める」ということです。
防衛に反映されれば、「自分の国は自分で守る」ということです。
それが「義務」であるのは、民主主義国家なら当然の話です。