なぜアメリカでは18禁ゲームが売れないのか
日本には多数にある18禁ゲーム(この話題に置いては実写などのゲームなど
ではなくいわゆるギャルゲーの話となります)ですがアメリカでは売られてい
ることはほとんどありません。なぜなのでしょうか。
いくつかの観点からまとめてみました。
マーケティング的な側面
多様性
ご存じのようにアメリカは多数の民族により構成されている国です。このような
国では人々の趣向も非常に大きく違っている側面があり、一部の購買層に訴える
ような製品を作るのは難しくなってきます。特に18禁ゲームは生理的な側面か
ら訴える部分が多いためなかなか厳しいと言えます。特に宗教観の多様性は非常
に大きく、流通しようにもなかなか流通できないのが問題であるようです。
販売ラインの棲み分け
アメリカのマーケットに置いて、常に非アダルトコンテンツとアダルトコンテンツ
の棲み分けが発生しています。これはテレビなどでも言えることですが日本では
複数の年齢層に商品の露出が発生しているのに対し、アメリカの場合はこのパー
ティショニング(区分け)が明確に行われています。(尚、この傾向はフランス
などでも強く見られます。)このため、アダルトコンテンツは常にマーケット内
で埋もれてしまう傾向があります。尚、日本ではこの点は非常におおらかなもので、
アダルトコンテンツへの露出は容易に発生する点があります。尚、アメリカに
おいてのこのパーティショニングはアニメが子供向けと決めつけるなど、誤解を
生んでいるという弊害もありますがそれは話の焦点がずれるので割愛します。
法制的な側面
規制など
これはよく誤解されることですがアメリカは現在、いわゆる日本での美少女
ゲームを国内で違法化する法律は存在しません。よく引き合いで出されるのが
18 U.S.C.Section 2251及びU.S.C. Section 2256の法解釈ですがこれに関して
は96年のAshcroft v. Free Speech Coalition最高裁判決により仮想ポルノは
違法ではなくそれを禁止する法律は違憲との判断を下しています。
ESRBの存在
ESRBはEntertainment Software Rating Boardの略であり日本で言うゲーム
倫理審査会のようなものです。ESRBはゲームソフトをカテゴリ別に分け、
各ゲームの対象ゲーム層を裁決、表示している団体です。現在、アメリカ国内
で発売されるゲームのほとんどがこのESRBレーティングを通過しており、
ほとんどの販売店ではレーティングを通過していないものは店頭に流れることは
ありません。これは一見非常に合理的なシステムではあるのですが実は問題も
あるのです。
大手販売店が業界の方向性を左右してしまう
現在全米に展開する大手チェーン店、例えばWalmartなど、一定のレーティング
以上のゲームを扱わないというような判断をしています。これはどういうことか
というと例えば大手販売店がMレーティング(Mature)以上を扱わない、といった
ようなことがある場合、その分流通が減ってしまうのです。これは18禁ゲームを
問わず、一部の暴力的なゲームに関しても同じ事が言え、場合によっては一部の
大手販売店用に別のパッケージを用意するなど滑稽なことも起こっているようです。
結局18禁ゲームは売れるの?
マーケットはほぼないと言っていいでしょう。するにしても上記のような
事柄以外に以下のような要素を考える必要があります。
アメリカ人の国民性から見る場合、画面に表示されている文章をちまちま
読んでいくスタイルのゲームがどこまで楽しめるものなのか?
ローカリゼーションの問題。ギャグ、ダジャレ、含みなどをどういう風に訳すのか?
18禁CGの許容性は?