旧経営陣ら7人を逮捕 関西興銀の不正融資疑惑
00年12月に経営破たんした在日韓国人系信用組合「関西興銀」(本店・大阪市天王寺区)の旧経営陣が、
回収の見込みがないと知りながら、やはり経営破たんした系列のゴルフ場経営会社「コマ開発」(同)へ事実上、
無担保で約20億円を融資していたとして、大阪府警は25日、背任容疑で同信組の前会長の李熙健(イ・ヒゴン)
(84)=奈良市富雄北3丁目=、長男で前副会長の李勝載(イ・スンジェ)(54)=同=の両容疑者ら同信組の
旧経営陣5人とコマ開発の元幹部2人の計7人を逮捕した。
調べに対し、李熙健・前会長は「コマ開発への融資の指示や決定をしていない」と否認。李勝載・前副会長は「融資
を十分に審査していなかった。当時私が理事長で、責任があります」と供述しているという。
府警は、同日朝から関西興銀本店など関係先約60カ所の家宅捜索に乗り出した。関西興銀からコマ開発への無担保
融資は計約55億円にのぼるとみられ、府警は残りの約35億円についても背任性が強いとみて立件を目指す。
ほかに逮捕されたのは、関西興銀の前理事長の李正林(イ・ジョンリム)(61)▽前副理事長の朴忠弘(パク・
チュンホン)(58)▽前専務理事の梁正明(ヤン・ジョンミョン)(58)▽元コマ開発社長の堀次利夫(68)
▽元同社総務部長の西原福隆(51)の5容疑者。
調べによると、李熙健・前会長らは、奈良県月ケ瀬村のゴルフ場「KOMAカントリークラブ」を経営するコマ開発
が実質的に破たん状態にあることを知りながら十分な担保をとらず、97年9月下旬から11月上旬にかけて3回に
わたり、計約20億円を融資したが、ほぼ全額が回収できず、関西興銀へ損害を与えた疑い。
コマ開発は同ゴルフ場の新コース開発が経営を圧迫し、会員から預託金返還請求が相次いだ。
同ゴルフ場には、李熙健・前会長が昨年3月まで会長を務め、関西興銀の組合員らが出資する韓国の新韓銀行
(本店・ソウル)が96年に84億円の融資限度枠を設定し、融資残高は約65億円にのぼっている。
関西興銀はその後、総額70億円の融資限度枠を設定し、97年9月から00年9月にかけてコマ開発へ計約
60億円を融資。うち約55億円が回収不能になった。
同ゴルフ場の担保価値は、コマ開発が事実上倒産した01年4月時点で約30億円しかなかったという。
李勝載・前副会長は当時理事長で、融資実行の最高責任者だった。李熙健・前会長に融資の決裁権はなかったが、
業務全体を実質的に統括する立場で、コマ開発の会長も兼務しており、府警は刑事責任が問えると判断した。
関西興銀の金融整理管財人は24日、5人を背任容疑で告訴し、府警が強制捜査に踏み切った。
http://www.asahi.com/national/update/0125/006.html 破たん前後に自宅を妻名義に 関西興銀元役員ら5人
http://www.asahi.com/national/update/0126/001.html 在日韓国人系信用組合「関西興銀」の旧経営陣らによる背任容疑事件で、逮捕された
前副理事長の朴忠弘(パク・チュンホン)容疑者(58)を含む関西興銀の元役員ら5人が、
関西興銀が破たん(2000年12月)した前後の2000年7月〜01年2月、
自宅の所有権のすべてや一部を次々と妻名義に変えていたことがわかった。
金融整理管財人は、差し押さえ逃れで資産隠しを図った疑いもあるとみて、
名義変更の経緯をくわしく調べている。
所有権を移していたのは、朴・前副理事長のほか、現理事2人と元理事2人。
朴・前副理事長と、この元理事2人も破たん当時は、現職だった。
登記簿などによると、朴・前副理事長は破たん直後の2001年2月、
「真正な登記名義の回復」を理由に、自宅(奈良県大和郡山市)の宅地約220平方メートル
と木造2階建て建物の所有権を2分の1ずつ、妻へ移した。朴・前副理事長の「妻」と
名乗る女性は、朝日新聞記者に「取材には応じられない」と回答している。