茉莉タンを誘拐したい。
手始めは遊園地だ。絶叫系などの派手なアトラクションはあえて避け、子供向けの退屈なコーナーを巡ってぐったりさせる。
夏のギラギラした日差しを存分に浴びせた後、今度はいきなり冷たいジュースやアイスで体温を低下させる。
ファミレスではコーナーの壁際に座らせて緊張感を煽り、栄養豊富なメニューで太らせる。
もちろん、デザートで過剰な糖分を摂取させることも忘れない。
ショッピングモールで色んな服を試着させ、優柔不断なヤツを混乱させる。うへへ。
気に入った服を気前よく買ってやり、これは何かの策略なのかと更に困惑させてやるぜ。
そして映画館だ。暗い屋内、いつ仕掛けられるか分からない状況下でヤツの精神は極限に達するはずだ。
ゲームセンターではUFOキャッチャーをやり、クレーンで捕まってるのはお前自身だという暗示を送る。
たまたま取れちまったぬいぐるみを手渡し、手の自由を塞ぐ。
車の中でついにヤツはぐったりと眠りに落ちる。ヤツの家についたら忍び寄るようにして起こす。
おみやげ一杯手に持って、ヤツは手を振る。能天気な笑顔だぜ。
今日のはほんの挨拶代わりだ。次は覚悟するんだな。