【タノミラス】
古代ギリシアにおける半獣人ミノタウロスの子孫の一匹。
クレタ島で生贄の娘とミノタウロスとの間に生まれた第三子である。
彼は獣人族特有の凶暴な性情を父親から受け継いでおらず、
ミノタウロスを倒したアテナイの英雄テセウスに狩られそうになったところを
「私を殺してもそれは怨恨を生むにすぎず、我々の存在を闇から闇へと
葬ったほうがギリシア史の汚点として残さずにすむであろう。」と説き伏せ、
タウロゴラス、タルタロスなどの兄弟を導いてギリシアから逃れた。
はるか東のパシパエ(現モンゴルと推定)まで逃げ、そこで生涯を終えたと言われている。
タノミラスという名は「タノム」(願う)という言葉と「ラス」(過ち)を合わせたものであると言う。
――民明書房刊『沈黙のギリシア史』より――