【゚∞゚】ペーチュンチュン その',8【゚∞゚】
北中中(ぺーちゅんちゅん)
時は明代初頭、元が滅び洪武帝による中国統一がなされたころのことである。
このころの料理人の間でひそかに重宝されてきた食材があった。それは∞の形に連なった二つの瘤が特徴の果物であった。
この果物の野生の木が森の中心部に群生することから「中」と呼ばれていたが、特に華北、華中の料理人が好んで用いたことから「北中中」と呼ばれるようになった。
しかし、この果物は強い依存性があり、北中中欲しさに仕事も忘れ荒れ狂う市民が急増したため、洪武帝が北中中を禁止する勅令を出した。
この後、北中中を求めてさまよう料理人と市民の「ぺーちゅんちゅん…ぺーちゅんちゅん…」という声が全土を覆い尽くしたという。
民明書房刊 「中国における禁忌・外法 −料理編−」より