女の子の体の中に侵入! (゚∀゚ )〜Dive4〜
お下品板のスレが速攻でdat落ちしてしまったので書きかけのSSを
ここにサルベージしておきまつ(つД`;)
!--ここから
理科のテストで赤点を取ってしまった僕は、補習を受けることになった。
プリントに書いてあった補習の場所は教室でなく町はずれにある怪しげな研究所で、
一抹の不安を感じながら約束の時間に研究所を訪れた。
「やあ、よく来てくれたね。早く入りなさい」
チンチクリンな外見の年老いた博士に招き入れられて、僕はわけがわからないまま
博士の指示で反射鏡のような機械の前に立たされた。
「さて、始めるかの」
ビカビカッ
「うわっ!」
突然、閃光が僕の全身を照らし出す。
……数分後。
「フォフォフォ、わしの発明した物体拡縮マシーンの威力はどうじゃ?」
「……カクシュク?」
ふと周囲を見回してみると、研究室内に雑然と並べられていた機械がさっきよりも大きくなって――
いや、僕の方が小さくなってしまったのだ。いつの間にかはわからないが、博士も僕と同じ大きさに
縮小してしまっている。
「だけど、これの機械と理科の補習にどんな関係があるんですか?」
「簡単じゃよ。小さくなったわしらは今から、人間の体の中を探検するんじゃ」
「えぇーっ!」
博士が余りに突拍子も無いことを言い出したので、僕は驚きと呆れが交錯した叫び声を
挙げるしか出来なかった。
「だけど、誰の体の中を探検するんですか?」
「うむ。わしの孫娘の体の中を……もごもご」
「わっ、かわいい!」
博士の孫娘――志帆さんは巨大な手で僕をつまみ上げるなり、驚きもせずそう言った。
僕から見た第一印象は、なんて言うかどう考えても変人としか思えないチンチクリンの博士に
似つかわしくない――一体どのあたりに博士の遺伝子を受け継いでいるのかわからない、
単刀直入に言えば可愛らしい娘だった。年は僕より少し上ぐらいだろうか?
「ささ、パクッとやっちゃいなさい」
博士は人ごとのように志帆さんをそそのかす。
「はーい」
志帆さんはこう言う状況に慣れているのか、全く驚く気配を見せない。
「おっと、慌てて噛み潰しちゃいかんぞ」
これからと言う時にそんなゾクッとすることを言わなくてもいいのに。そんな僕の不安をよそに、
志帆さんは僕をつまみ上げている右手を口元に近づける。
小さく開いた口が近づくにつれ、生暖かく湿った吐息が僕の全身に吹き付ける。
「いただきまーす。あーん」
パクッ
べちゃっ。
僕は唾液で湿った舌の上に前のめりで倒れ込み、全身をビショビショに濡らしてしまった。
「よいしょ」
続いて博士がジジ臭いかけ声を挙げながら前歯を跨いで口の中へ入る。
「それでは説明を始めるかの。人間の歯は上下合わせて子供は乳歯が20本、大人は永久歯が28本
あってな、遅くとも13歳頃までには永久歯が生えて来るのじゃ。種類は大きく分けて切歯・犬歯・臼歯の
3種類があって――これが切歯じゃな。肉や野菜を噛み切る役目があることからそう呼ばれておる」
博士はそう言いながら前歯を指さし、説明を続ける。
「切歯を挟むように2対、鋭った歯が犬歯。犬を始めとする肉食動物の牙が人間の雑食化に伴って
退化したもので、柔らかい食物を引きちぎるのが役割じゃ。そして、属に奥歯と呼ばれるのが臼歯。
その名の通り、臼のように食物を磨り潰す役割があるんじゃ」
……正直に言って、博士の解説はあんまりちゃんと頭に入っているとは言い難い。口の中の独特な
生暖かい空気が気になってしょうがないのだ。
「あの……」
僕は耐えかねて口を開いた。
「なんじゃ、質問かね?」
「このベトベトはどうにかならないんですか?」
「フォフォフォ、このベトベトした液体は唾液じゃよ。キミはジャガイモにヨウ素を加える
実験をしたことがあるじゃろう?」
「あぁ、ジャガイモが紫色になるアレ……ですよね」
「そうじゃ。あの実験は、ジャガイモに含まれておる澱粉がヨウ素に反応して紫色になるのじゃが
唾液に含まれておるアミラーゼはジャガイモや米に含まれておる澱粉を分解する働きがある。
従って、唾液の化学反応を経たジャガイモにはヨウ素を加えても紫色にはならん」
なんだか話をすり替えられている気もするが、そこまで説明が終わったところで、僕たちが
立っている舌が激しく上下に動き始めた。
「手前の穴は気管と言ってな、肺に繋がっておるんじゃ。食べ物を飲み込んだ時は自動的に
塞がって食道へ送り込むようになっておる」
「それじゃ、気管に入っちゃったらどうなるんですかー」
「その時はむせて吐き出すんじゃ」
そうこうしている間に、食道は「ごっくんこ」と大きな音を立てて僕たちは
奥深くへと滑り落ちて行ったのであった。
「……あんまり美味しくなかったなぁー」
「食道ってただ落ちて行くだけじゃないんですねー」
気持ちに少し余裕が出て来た僕は、積極的に質問を浴びせることにした。
「うむ。いい所に気が付いたようじゃな。食道の筋肉が順序良く動いて食べ物を
先へ先へと送るから、逆立ちしていたり重力が無い宇宙空間であったりしても
人間は食事が出来るんじゃよ――さて、そろそろ食道のトンネルも終わりに
近づいて来たようじゃな。目の前に見えるのが食道の出口、すなわち胃の入り口で
ある噴門じゃ」
次の瞬間、固く閉じられていた筋肉のバルブが「ビュクッ」と大きな音を立てて開き、
僕の体は粘膜に覆われた胃壁をもの凄い勢いで滑り落ちて行った。
「ここが胃じゃよ」
どうやら僕たちは胃袋の底にいるようだ。落ち着いて周囲を見回すと、ただただそのスケールの
大きさに圧倒されるばかりで何も言葉が出ない。僕たちが通り抜けた噴門は頭上のずっと高い所に
小さく見えているだけで、胃壁を伝ってあの高さまで登るのはかなり困難だと思われる。
噴門の方からはドクン、ドクンと心臓の音が規則正しく、それでいて着実に響いて来る。
「どうじゃ? 綺麗じゃろう。美人は胃壁も綺麗だと言うからな。フォフォフォ」
確かに綺麗だ。粘膜に覆われて艶やかなピンク色、なまめかしく縦横無尽にうねる襞。その胃壁からは
サラサラと清水のように胃液が湧き出し、独特の酸っぱい香りが胃の中に充満している。
「胃液は強力な酸性でな、食べ物を溶かす作用と殺菌する作用があるんじゃ」
「……酸性って……それじゃ、僕たちも危ないんじゃ……」
「フォフォフォ、まあ心配なさんな。そうそう、今は空腹じゃから少ないが胃液は1日に1.5リットルから
2リットルも分泌されるんじゃぞ」
そう言いながら笑う博士の額に冷や汗が浮かんだのを、僕は見逃さなかった。
「だけど、どうして胃壁は酸で溶かされないんですか?」
「それはじゃな、胃液は胃壁にある胃小窩と言う腺から分泌されるんじゃが、胃小窩は胃液と同時に
胃壁を保護する為の粘膜を作り出しておってな、それで酸から胃壁を守っている訳じゃな」
「ふーん」
この説明には、普段は不真面目な僕も思わず感心してしまった。
ゴゴゴゴゴゴ
突然、胃の底が隆起し激しく上下に振動する。
「うわっ! 大変だ、地震ですよー」
「違う違う、胃の中に食べ物が入って来たから胃が運動を始めたんじゃ。こうやって、食べ物を
胃液をよく混ぜ合わせてドロドロにしてから小腸へ送る訳じゃな」
「食べ物って……まさか、僕たち?」
「そう言うことじゃ。さて、ドロドロになる前に胃から脱出するかの」
「って、やっぱり何も対策してなかったんじゃ……」
「そんなことはええから早く来なさい。急がんと溶かされてしまうぞい」
僕たちは蠕動運動でトランポリンのようにポン、ポンと跳ね上げられながら胃の出口である
幽門までたどり付いた。胃壁からは入って来た食べ物――つまり、僕たちをドロドロに
溶かすためさっきよりも盛んに胃液が分泌され、酸っぱい香りがさっきよりも強く鼻を刺激する。
僕たちは危機一髪のところで小さくパクパクと開く幽門に全身を滑り込ませて、どうにか
危険地帯である胃から脱出することに成功したのであった。