台風が来て、少しニュースを騒がしている。
ボクには特に関心が無いし、こっちにも強い風、大雨は来ているけど
お店の看板が飛んでったり家が浸水するほどじゃないからだ。
むしろこういう日は好きだ。
雨の音はボクの心を和ませてくれる。
何もやる事がないので雑誌の女のコで自慰でもする事にした。
あるマンガのヒロインのT。眼鏡をかけている。
もうありきたりな設定だが、眼鏡をとるととても可愛いらしい。
ボクには素顔でもどうせ大して変わらないように思える。
だけど、見てみたいとは思う。
彼女のふとももを見ながらボクはいつものように手を動かしていた。
すると、いきなりボクの固くなっていたモノを一気に萎えさす声が聞こえてきた。
…たすけて…
ボクは2階の自分の部屋の窓から外を見回した。
変だった。
外は雨が降っていたし風が物凄く強い。
しかもボクに聞こえた声は決して叫んでいる声ではなく
つぶやいているような声だった。
ボクは外を見て驚愕した。
今、ボクが自慰している対象だったヒロインが、
道路の真ん中で、雨の中複数の男に強姦されていたからだ。
「ありえない・・・。何をみているんだボクは・・・?」
すると、その女のコはボクが覗くのを知っていたのか、
悲しい表情でボクの顔を見つめた。
目が合った。
彼女は遠くにいるし眼鏡を掛けているのに
何故か目が合ったっていうのが判った。
心臓が止まりそうになった。
でも、次の瞬間、ボクはさらに驚く。
…な ん で…黙っているの…?助 け て…
次は、ボクの耳の真横で呟かれたからだ。
だが、実際にはそう感じただけで隣には誰もいない・・・。
ボクはもう一度外を見た。
彼女はとても屈強そうな男達に犯されている・・・。
ボクが出ていったところでどうにもなるわけがないのだ。
大体、二次元の存在が・・・。おかしい・・・。
そうだ!ボクは幻覚を見ているんだ!
ハハハ・・・さぁ、気にせずさっきの続きをしよう!
そう思って雑誌を開いた・・・。
すると
彼女の眼鏡の部分が真 っ 黒 に 繰り抜かれていた
「ヒイイッー!!!!!」
ボクはその雑誌を放り投げた。
とたんにその雑誌はバラバラになった。
全てのページが一枚一枚宙を浮く。
「ギャアアーーーーー!!!!!!!!」
その雑誌のページ全部があのヒロインの顔のアップになっていた。
彼女の顔には無数のしわが寄っていて、目の部分は無いのでボクの部屋が
通り抜けて見える。そして、
「ゲラゲラゲラ!ゲラゲラゲラ!!」
彼女は男のような野太い声で笑い出した。
ボクは一目散に玄関に向かった。
外に出ようとしたのだ。
彼女達はボクを追いかけてくる!
階段の残り何歩かのところでボクは転げ落ちた。
でも今は玄関から外に逃げる事が一番の目的だ。
少々の痛さなど気にしていられない。
玄関のドアを開けた。
目の前にはあのヒロインと男達、そしてボクが
眼球を繰り抜かれて吊るされている光景が映った。
後を見た。
「・・・もう逃げないの?ゲラゲラゲラ」
追って来た彼女達に包まれて、ボクは意識を失った。
遠ざかる意識の中で彼女達の声が聞こえる・・・。
彼女達はボクが今までしてきた悪事を
一つ一つ、丁寧に読み上げているようだった・・・。
何故彼女達がその事を知っているんだろうか。
何故こんな事になってしまったのか。
ボクが眼鏡の下はどうなっているか気にした事と関係はあるのか・・・。
でもボクにはもう、この恐怖と失望の中、
何も考える時間も残されていないようだった・・・・・・・・・。
終わり