ぼくちん悟った

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週末の大通りを黒猫が歩く ご自慢の鍵尻尾を水平に威風堂々と
 その姿から猫は忌み嫌われていた 闇に溶けるその身体めがけて石を投げられた

孤独には慣れていた むしろ望んでいた 誰かを思いやる事なんて煩わしくて…
 そんな猫を抱き上げる若い絵描きの腕 「こんばんわ素敵なおチビさん 僕らよく
似てる」
  腕の中もがいて 必死で引っ掻いて 孤独と言う名の逃げ道を 走った走った
 生まれて初めての 優しさが… 温もりが… まだ信じられなくて
どれだけ逃げたって 変わり者はついてきた Oh
31/名無しさん[1-30].jpg:02/08/28 00:46 ID:rZRaQiRC
それから猫は絵描きと二度目の冬を過ごす 
 絵描きは友達に名前をやった 「黒き幸」”ホーリーナイト”
  彼のスケッチブックは殆ど黒ずくめ
 黒猫も初めての友達にくっついて甘えた
ある日 貧しい生活に倒れる名付け親 最後の手紙を書くと彼はこう言った
 「走って 走って こいつを届けてくれ」
  「夢を見て飛び出した僕の帰りを待つ恋人へ」
32/名無しさん[1-30].jpg:02/08/28 00:47 ID:rZRaQiRC
不吉な黒猫の絵など売れないが それでもアンタは俺だけ描いた
 それゆえアンタは冷たくなった ”手紙は確かに受け取った…”
33/名無しさん[1-30].jpg:02/08/28 00:47 ID:rZRaQiRC
雪の降る山道を黒猫が走る 今は故き親友との約束をその口にくわえて
 「見ろよ悪魔の使者だ!」 石を投げる子供
  なんとでも呼ぶが良いさ 俺には 消えない名前があるから
 「Holy Night」 聖なる夜と呼んでくれた
優しさも温もりも 全て詰め込んで呼んでくれた
 忌み嫌われた俺にも 意味があるとするならば
  この日の為に生まれてきたんだろう 何処までも走るよ
34/名無しさん[1-30].jpg:02/08/28 00:48 ID:rZRaQiRC
彼は辿り着いた 親友の故郷に 恋人の家まであと数キロだ
走った… 転んだ… 既に満身創痍だ
 立ち上がる間もなく 襲い来る罵声と暴力
  負けるか俺は”ホーリ-ナイト”
 千切れそうな手足を引きずり 尚走った 見つけた!この家だ!
手紙を読んだ恋人は もう動かない猫の名に
 アルファベット一つ加えて庭に埋めてやった
  「聖なる騎士」(Holy Knight)を埋めてやった…