ニャル子 S
このアニメの面白さが個性的で魅力的なキャラ同士のテンポのよい掛け合いに起因していることは誰の目にも明らかだが、
その裏に緻密に練られた脚本があるという事実は案外見落とされているかもしれない。
一見荒唐無稽に見えるが複雑に伏線が張り巡らされた脚本。
恐らく3話の時点で母親が邪神ハンターだと気付いていた者はいなかっただろう。
ニャル子さんにより事前に述べられていたこの事実は、ニャル子さんの過剰反応として視聴者の笑いは誘ったものの、
散りばめられたギャグの一つとして、視聴者の記憶の底に沈みこむこととなる。
さて、4話に話を戻そう。
母親が邪神ハンターという突飛な設定を突きつけられ、普通なら戸惑うところではあるが、
事前に刷り込まれていた視聴者はこの事実を自然と受け入れることができたはずだ。
何話も前から見てきたかのような愛着さえ感じた者も少なくないかもしれない。
ここに「這いよれニャル子さん」の脚本の妙が隠されている。
キャラ紹介をしてキャラ同士の距離を近づけるという過程の短縮に成功した脚本は、
その時間をキャラ同士の濃厚な掛け合いに費やすことで、
テンポと爽快感をそぐことなく、新たなキャラとの関係を構築し、掛け合いの幅を広げることを可能としている。
魅力的なキャラの背景に隠された脚本こそが「這いよれニャル子さん」の面白さの立役者なのだ。