匡平は今回の事件までは村や案山子に関わるシステムについて
嫌悪してるってわけではなかったと思うな。靄子に匡平様って言われて
照れ笑い苦笑いしてたのがこの時点での匡平の立ち位置を如実に現わしてる。
あれは「親しい人にお金持ちであることをからかわれたお金持ちの子供」の反応だ。
靄子と匡平はそれぞれ自分の立場を素直に受け止めていたと考えるべき。
でなければああいう無邪気な会話は出てこない。
そして、現在東京で匡平にしつこく絡んでいる阿幾がこの時点で匡平に
「村のシステムの破壊」的なことを何も持ちかけていないのも、この時点の匡平は
それを聞いても逆に阿幾を幼なじみとしてやんわり諭そうとするくらい
村の隻の一員としてマジメに過ごしていたからなんだろう。
だが、この事件により先生に関する自分の父親を含む一連の村の対応や
自分の無力さ・間抜けさに対する強烈な嫌悪感を感じるようになり
阿幾は匡平が東京に逃げ出したことを聞いて「今の匡平なら
村の糞さを理解しているはずだし『かけがえのない先生を奪われた者同士』として
共に村と戦ってくれるはず」と考えて匡平を挑発しながら誘ってるということなんだろ。
「ヘタレたフリすんな!無かったことにしようとすんな!これがお前の本当だ!
忘れんな!あの時から俺とお前はとうに同じ道を歩んでんだよ!」