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涼宮ハルヒの憂鬱 新エピソード 笹の葉ラプソディ
3年か・・・長かったね。ハルヒを愛したアニヲタの同胞たちに
嫌味でも皮肉でもなく心からおめでとうと言わせていただこう。
信じて待ちわびて、それでも裏切られ・・・アニメを愛して追い求めて
30年と幾星霜・・・人間不信にもなりかかったさ、アニメ業界を呪った事もあったさ。
それでも俺はアニヲタをやめられなかった。ヲタク道を外れる事が出来なかった。
ドラクエアベル編の最終回ラスト10分間テレビの前で
「もう時間がないんだよ!!とっととバラモス倒しにいけええええ!!!」と
涙を流しながら絶叫し、それでもあっり終わってベッドで数時間泣き崩れた
あの日・・・それが奇跡の続編で歓喜し、その最終回でまた別の意味で号泣する。
または魔法陣グルグルの最終回でやっぱり喚きちらしながらも
「ああ・・・これはもうここで終わるんだな」となかば諦観し、続編が始まった時には
「いまさらなんだかなあ」となかば醒めてたり。
ガルビオンの最終回やら名作劇場シリーズの打切りやら数を数えたらきりがない。
そんな自分もいつの間にか三十路を過ぎた。そんなある春の夜。
目の前に現れたのはまったく理解できない、意味不明な第1話。
「・・・・はあ?」30分ずっとこんな感じ。世界観もキャラもまったく理解できなかった。
俺は視聴対象リストからその作品名をひっぺがし、時速300キロの剛速球で
ゴミ箱に叩き込んだ。それが俺と涼宮ハルヒの憂鬱の出会いであった。
しかし俺は翌週もハルヒを見た。なぜだろう。何かを期待したのか?
まあ糞と言われるアニメなど星の数ほど見てきた。アニメにキレるのも何を今更
といったところだろうか。
だがまたしても難題が立ちふさがった。なにやら話が通じない。毎週見てるはずが
話が繋がらない。どうやら原作エピソードを時系列をバラバラにして放送してるらしい。
はあ?なんで?やっと見る気になったところでなんでまたそんな視聴意欲を削ぐ事を?
もうヤケだった。どうせこの作品も俺の見てきたアニメの星の海の中に埋もれていく
だけなのだろう。ただ最終回を見届ける。何の意欲も沸かず惰性のみで視聴を続けた。
ガルビオンは制作会社が潰れたんだから打ち切りも仕方ない…
視聴者からの「お願いだから、もっと続けて」の声に涙ぐむ社長
もう許してやれ…
そしてある日。俺はそのエピソードに立ち会った。
文化祭。トラブルに見舞われた軽音部。ハルヒがピンチヒッターを務める。
その日の俺はまさにキョンだった。ステージを静かに見守るキョン。
そして舞台の幕が上がる。演奏が始まる。
God Knows...それが伝説の始まりだった。それを見届けた者達にこれ以上の
説明は不要だろう。ここまでハルヒを見届けてよかったと初めてそう思えた。
軽音部に感謝されて戸惑うハルヒ。キョンは言った。
「それはお前が人に感謝される事になれていないからだ。」
自分自身の理解できない感覚に振り回されるハルヒに初めて萌えた。
それまでずっと殺意しか沸かなかったのに(笑)
最終回。ところどころで見覚えのあるような演出。
なんだかなあと苦笑しながらも第1話の時のような惰性とは別の感情で俺は
ラストを見届けた。
そして・・・・・・・・・いつもの日常。少し不機嫌なハルヒ。無愛想な台詞でキョンに
対応する。だがいつもとひとつ決定的に違ったのは・・・キョンが萌えたという
あのポニーテール。そしてキョンのたった一言。
「似合っているぞ。」
俺は心から同意した。屋上でキョンと飲み明かしたい衝動に駆られた。
とってっも下戸なんだが(笑)
こうしてたった1クールでハルヒたちの物語は一端の完結を見た。
しかし・・・・・・・・・俺は知らなかったのだ。普通ならこれで俺の中で
まあまあの作品だったということで終わっていたこの作品が、まさか本当に、
冗談でもネタでもなく世界を革命してしまったことを。
作品の終了から1年以上たち、アニヲタの関心はハルヒから同じ京アニ作品の
らき☆すたに移っていた。 そんなある日、らき☆すた のOPである
「もってけ!セーラーふく 」を踊る外国人の動画を見たのだ。
おおっ!らき☆すた すげーじゃん!!・・・アニメの持つ力に思わず感動。
「でもこれならハルヒのハレハレユカイはどうなんだろう・・・」
ほんの一瞬のひらめき。やめればよかった。知らなければよかった。
ほんの少し魔が差しただけだった。ハレハレの海外評価が気になった俺は
関連動画を調べた・・・。
そして知ってしまったのだ。それはまさに俺にとって世界が変わる瞬間だった。
目の当たりにしたモニターの中では人種も国境も性別も年齢も宗教も越えて
ただひたすらにハレハレダンスを踊り明かす世界中の人々だった。
理解などできなかった。意味がわからなかった。なんだこれは・・・
いったい何が起こっているのか・・・。俺の脳がその現実を冷静に理解するまで
わすがかな時間を要した。
俺はハルヒのファンではない。関連書籍も買ってないしハルヒに対して1円も
使っていない。それでも彼女は俺にとって神だ。
彼女は本当に世界を面白おかしくしてしまったのだから。
今回の新作を見届けるために遠征してホテルに泊まった者もいる聞く。
もう一度言わせてくれ。心から。おめでとう。君達は勝利したのだ。
叶うことならば君達のその思いが世界をよき方向に変えてくれることを願ってやまない。