よく高畑が、ラッシュをみて、「あ、やっぱり漫画映画だな」ってこう言ってましたけど。
その、ちゃんと絵、見てるくせに、自分の頭んなかには、ほんとに生きた人間が動いているようになってるんですよ。
イメージはそうなんです。ぼくですらそうですからね。ぜんぶ見てるくせに。
あの、なんとなくそういう世界が出来上がるんです。で、映画終るとですね、その世界が、ほんとにあった風景のようになって、
ちゃんと、残るんですよ。絵のかたちで残ってないんです。
だから、よくスタッフにも言うんですけど、絵を描いてんじゃなくて、そこに世界があるんだけど、
それを絵に描いたら、今この程度にしか描けないんです、っていうにして描くしかないんだっていう。
その、人物を動かすのも、そこにこう、なんかおもしろいのがいるんだけど、
なんとかして描いても、この程度にしかおもしろくならないんだっていうね。
絵で描こうとしたら、それは映画にならない。
まあ、そうじゃない考えが持っている人たちがいることも知ってますけど。
でも、あの、ぼくらはそうです。