>>928 ・・・そうだね、否定はしないよ。わたしはいつもそうだったから。
小柄で、病弱だからって・・・それを理由に逃げてたのはわたし自身。
でもね、もう違う。
わたし決めたんだ、お姉ちゃんの為に笑顔で地獄に落ちるって。
あいつら全員道連れにするんだ。
こなたお姉ちゃんの為なら、喜んでこの手を血に染める事ができるから。
私の前には今、かがみ先輩が横たわっている。
意識はまだある筈だけど身体の自由は利かないはずだ。
まだ多少自由になる首を動かして、必死に状況を理解しようとしてるみたい。
さっき先輩に差し出したお菓子には薬を入れておいたんだ。
疑いもせず意地汚く食べてた食いしん坊さん乙。滑稽だよ。
この時ほど自分の見た目とそこから来るイメージに感謝した事はないよ。
あの薬、もし大量に入れてればそのまま・・・でも簡単に死なれちゃ困るんだ。
これからが大切なの。先輩にとっても、わたしにとってもね。
わたしは腰を落とすと、ついと両手を伸ばしかがみ先輩の喉元を捕らえた。
まるで信じられないといった様子で目を剥くかがみ先輩。
「な、なんで・・・」
あ、まだ喋れるんだ。もうちょい多目に盛っとけば良かったかな。
でも残念だね。あなたなんかに喋る舌は持ちあわせていないから。
そのまま、渾身の力を込めていっきに絞めあげた。
元かがみ先輩だったそれは力無くダラリと横たわっている。
白目を剥き舌を突き出し、涙と鼻水と涎と糞尿にまみれ、中々良い様だ。
少し離れたところにへたり込み、息を整える。
両手から伝わった生温い感触、身体の痙攣・・・死ぬまで忘れることはできないだろう。
だがこれは、今の私にとっては必要な通過儀礼なのだ。
自分の手をあいつらの血で汚す覚悟が無ければ、こなたお姉ちゃんは救えない。
だいぶ落ち着いて来た。これなら大丈夫だろう。
わたしは鞄の中から用意していた小さめの斧を取り出した。
非力な私でも扱い易い、軽量型のやつだ。
絞殺は往々にして相手が息を吹き返すことがあるという。念には念を。
ついでに顔面を破壊しておけば身元が割れるまで時間を稼げる。
その間に他の蛆虫どもを始末できるだろう。
もはや一片の迷いも無い。
私は斧を頭上に掲げると、全体重をかけてそれの頭部へと振り下ろした。