新聞雑誌でアニメ・オタク特集が載ったら集まるスレ6
ttp://opendoors.asahi.com/data/detail/8131.shtml 『AERA(アエラ)』2007年5月28日号(5月21日発売) p.38〜39
オーマイゴッド!! 「腐女子」の父 あなたの娘は大丈夫か?
最愛の娘が、密かに増殖中のおぞましい、
いや一風変わったオタクの一派とわかったら……。
父親たちはどうしたらいいだろうか。
「とにかく驚きました。男同士のキスシーンも、それ以上もありました。何を読んでいるんだ、と怒るより愕然としました」
製薬会社に勤務するサトルさん(42)はため息をつく。娘が腐女子と知ったのは1年前。娘の部屋でボーイズラブ(BL)漫画を見てしまった。
娘からはよく漫画を借りていた。その日もたまたま机の上にあった「野球漫画らしきもの」を手に取った。BL作品だとは知らずに。
表紙からは内容が想像できなかった。
「娘は普通の高校生です。まじめなほう。腐女子はテレビで見たことがあるけど、あんな感じじゃない。
まあ、腐女子という言葉すら知らなかったんですけど……」
娘は、私立中高一貫女子の高校1年生。成績はいいほうで、付属大学ではなく、他大学への進学を目指している。
それなのになぜ、とサトルさんはいうが、腐女子からみれば、まさに腐女子。一見、まじめな子が実は……なのだ。
○飛雄馬と花形が絡む
「腐女子」とは男同士の恋愛、つまり男性同性愛にひかれる女の子たちだ。漫画や小説などの2次元モノからアイドルなど実物の
男性による3次元モノまで。彼女たちは妄想をふくらませて、その世界を楽しんでいる。
主婦の腐女子を「主腐」、年配の腐女子を「貴腐人」と呼ぶこともある。年齢層も10代から50代と幅が広い。
自嘲した呼び名は、腐女子たちが自らつけたものだ。
腐女子用語はほかにもある。
先の「BL」はオリジナル作品を、「やおい」は既存作品のキャラクターなどを勝手にボーイズラブ化した、いわば2次創作の作品
(例えば星飛雄馬と花形満が絡む)を指す。どちらにしても性描写があり(プラトニックラブもあるが……)親からみれば
「とんでもない」の一言につきるのだろうが、一般書店にも「BL」コーナーはあり、腐女子市場は近年、とみに拡大した。
BL漫画雑誌の創刊ラッシュが続き、数はおよそ20点弱にも。「MAGAZINE BE×BOY」(リブレ出版)、「CIEL」(角川書店)、
「Dear+(ディアプラス)」(新書館)などの人気誌は、発行部数が2万部を超える。掲載作品にはドラマCD化・ノベライズされるものもある。
だが腐女子を知らない父親は多い。東京・新橋の居酒屋で、お父さん世代のサラリーマン10人に「腐女子って知ってますか?」と
質問したが、誰も答えることができなかった。まさか娘が、というよりも、それ以前のハナシである。
「同性愛にひかれる、といってもうちの娘は女だし。あれは男同士のでしょう」と、サトルさんも困惑する。
ただ、同じ親でも、母親はまた違うらしい。BL雑誌の編集長の一人はこう言う。
「投書を読むと、母娘2代で読んでいる、という人が少なくないんですよ」
なるほど。確かにコミックマーケット(コミケ)で大量のBL同人誌を買い込み、カートをひっぱる親子は、母親と娘だ。
父親の姿は見かけない。
(
>>194の続き)
○お父さんだってエロ本…
BLの同人誌を製作するマキさん(22)は、
「腐女子の世界に父親はありえない」
と断言する。
肝心の同人誌は机の引き出しに隠している。夜中、部屋にこもってこそこそと漫画を描く。
「腐女子仲間と約束しているんです。私が急死したら作品はぜんぶ燃やしてって。親バレ、特に父親バレはほんとまずい。
隠れキリシタンの気分です」
コスプレイヤー(レイヤー)であり腐女子でもあるヒカルさん(26)は稀なケースだ。両親がその事実を知っている。
「時代劇を見ていても『織田信長と森蘭丸萌え! 主従関係萌え!』とかつい言っちゃうんですよ」
ヒカルさんがときめくのは上下関係だ。時代劇は心が躍る。男同士の恋愛はそこに尽きると、ヒカルさんは熱っぽく話す。
「母親は『男色ってむかしからあったのよねー』とのってくるけど、父親はそっぽを向く」
父はやめろとはいわない。今は干渉しないことで娘との距離を保っている。
ヒカルさんは一度だけ、父とぶつかったことがある。父が「何でそんなものを読むのか」と聞いてきたからだ。ヒカルさんは言い返した。
「お父さんが衣装ケースに隠しているエロ本について、私は何も言わないでしょ。だからお父さんもそのことに触れないで」
そう言ったら、それっきり口出しをしなくなった。
○免疫ない父親は…
ヒカルさんは自称「中堅」レイヤーだ。大きな目とすらっとした体つき。コスプレの衣装が映える。雑誌に写真も掲載された。
父親はそれを見て、まんざらでもない様子だという。どうやらレイヤーの娘には理解があるようだが、腐女子とわかったときの距離感の
取り方には、神経を使うらしい。前出のサトルさんも言う。
「娘が本屋の袋を持って帰ってくると『何買ったの?』と詮索してしまいます。肝心なことは聞けないままですが。
問いつめると傷つくかなと思い、あきらめました」
ただ父親がオタクの場合は、娘が腐女子でもそんなにあわてたりはしない。
タカトシさん(40)の娘も腐女子だ。タカトシさんは年季のはいった漫画系オタク。コミケにはかかさず足をはこぶ。
「趣味の一環だし。干渉されるのが嫌だという気持ちはわかる」
娘はタカトシさんのまえで、BL漫画を読んだりはしない。アニメの話で盛りあがることもあるが、タカトシさんはその分野に踏み込まない。
「あえて距離を置いているわけではないのですが。でも免疫がなかったら、卒倒するよね。知っちゃった普通のお父さんには、
気の毒としか言いようがない。でも自分のヌードをさらしているわけじゃないし、そんなに騒がなくてもいいのでは」(タカトシさん)
腐女子彼女の生態を綴った『となりの801(やおい)ちゃん』の作者、小島アジコ(男性です)さんも、自分の彼女が腐女子と
知ったときはさすがに驚いた。
「彼女がカミングアウトしたのは、ブログでバレたから。最初は『ちょいオタ』の程度と思っていたんだけど」
実はディープなオタク「腐女子」だった。
漫画オタクの小島さんは高校生の頃、間違って「やおい」漫画を買ってしまったことがある。そのときは衝撃を受けた。
だがその経験で腐女子の存在を知っていたので、「彼女もそうなんだな」と納得した。
「腐女子彼女との交際は楽しい。娘が腐女子と知っても、そっとしておいて欲しい。家族会議なんてもってのほかです」
(
>>195の続き)
○我が家でも聞きました
ところで、かくいう私も妹とともに腐女子のはしくれだが、そのことを父は知っているのか。ちなみに父はオタクではない。
恐る恐る電話で聞いてみた。
「腐女子って知ってる?」
「知らん。どんな字を書くのか」
「腐った女子と書くんだけど……」
さすがの私もこれ以上の説明ははばかられる。10年以上もそのことを隠してきたのだ。
では母はどうだろうか。電話をかわってもらい、同じ質問をしたところ、すごい剣幕で怒られた。
「パパが知ってるわけないでしょ。余計なことを聞くんじゃない」
母は知っているのか。
「あたりまえでしょ。『ある特定の』漫画を愛好する女のことをいうんでしょ。あんた前にも記事書いていたじゃない。
私はあんたがそうだって知ってるわよ」
恐るべし母。
どうやらうちも母だけがこちらの世界を把握しているらしい。
腐女子と父のあいだには、飛び越えられない溝がある。
(文中カタカナ名は仮名)
(ライター 小林弥生)
◇あなたの娘の「腐女子」度チェック
【夏休み・冬休みが近づくとそわそわしている】 東京でお盆の時期と年末に大きなコミケがあり、それに向けて活動している可能性アリ。
【姉がいる】 姉が腐女子の場合、妹も腐女子になる確率が高い。
【女子高に通っている、通っていた】 共学と比べて、臆せず腐女子になれる。同志も見つけやすい。
【コスプレが好き】 コスプレイヤーには腐女子が多い。
【興奮しながら時代劇を見ている】 時代劇は腐女子にとって萌えの宝庫。特に「新撰組」という言葉に反応する。
【意味不明の言葉を話す】 腐女子は腐女子にしかわからない言葉をあやつる。
【部屋が「父親立ち入り禁止」だ】 腐女子は親バレしないよう、細心の注意をはらう。
【引っ越しの際、開けてはいけないダンボール箱があった】 ダンボール箱にBL漫画がぎっしりつまっているかもしれない。
【定期的に池袋に行っている】 池袋は腐女子のユートピアだ。同人誌を買ったり、男装喫茶でまったりしたり。
いつも本屋の袋をもって帰ってくるなら、黒に近い。
【今年5月3〜4日は、有明へ出かけていった】 東京ビッグサイトで同人誌の即売会「スーパーコミックシティ」が行われた。
特に3日は創作BLのブースがあったので、この日にお台場方面に出かけていたらかなりあやしい。
【「ブロークバック・マウンテン」など、ゲイ映画に詳しい。】 近作では「王の男」を見ていたら、かなりの腐女子。
(半分以上該当していたら、あなたの娘は、腐女子の可能性大)
<illustration 村林タカノブ>