新聞雑誌でアニメ・オタク特集が載ったら集まるスレ6
産経新聞 2007年5月20日(日)東京朝刊19面
【サブカルさーふぃん・ゲーム】脳トレ
■“自分への危機感”でヒット
携帯ゲーム機ニンテンドーDSが、ずっと売れている。少なくとも東京では入荷、即完売という状態が続く。
出荷台数はなんと世界で4000万台、国内も1600万台を突破したというから驚きだ。
国内でのDSヒットの牽引役となったのは、任天堂の「脳を鍛える大人のDSトレーニング」。略して「脳トレ」。ゲーム世代のみならず、
おじちゃんもおばちゃんも、みんな買って楽しんだ。1億総…とまでは言わなくても、日本中で脳を鍛えているという状況は面白い。
しかし「脳を鍛えたい」と思っている人が、それほど多くいるとは思えない。潜在的な需要はあったと思うが、それを「何か」が
呼び覚ましたのだ。そのヒットの要因に、日本人の国民性−−もしかしたら、人間の性まで、見えてくるように思える。
「脳トレ」の登場に、日本国中が飛びついた理由は「脳年齢」という、「新しい単位」の発明ではないだろうか。
「新しい単位」の登場に僕らは弱い。「あなたの脳年齢いくつですか?」と突然聞いたこともない単位を突きつけられ、
興味を持たない人は少ない。松嶋菜々子の脳年齢が52歳というCMを見て誰もが驚いた。そして慌てた。
「脳年齢って? じゃあいったい、自分はいくつなんだろう?」と。
数年前に、体脂肪計のヒットがあったが、それに根源は似ているように思える。「体脂肪」なんて、それまでは誰も気にしていなかった。
知能指数のIQや、「何星人」なんていう占いも、同じようなものだ。誰もが、自分を計る新しい単位に興味がある。
そして誰でも、自分のことをもっともっと知りたいのだ。(ゲームクリエイター・飯野賢治)