もっと地方でもアニメを放送しろよヽ(`Д´)ノ 3
新井はあの男の言った言葉が常に頭をよぎった。
『これは魔法のクスリじゃない。あくまであんたの力を引き出すお手伝いをするだけのものだ。一番大事なのは、練習だ』
たとえクスリを飲んでも、結果が出ない日もあった。
しかしそんな時こそ一層練習に身が入った。
練習は打席での自信につながった。
しかもその上、集中できるクスリを飲んでいる。球筋が実によく見える。
いつしか新井は、外角に逃げる変化球にまったく手を出さなくなっていた。
落ち着いて、直球を待てるようになった。
それどころか、甘い変化球についていけるだけのバットコントロールも身に付いていた。
だが心のどこかに常に後ろめたさがある。
なので気を抜かずに練習する。好循環である。
6月。新井は6試合連続ホームランを放ち、20号へと到達した。
しかし周囲の騒ぎにも、新井はどこか遠慮がちだった。
『ワシは、クスリをやっとる...』
でもそんなことをつゆとも知らない周囲の者は口々に言った。
「実るほど頭を垂れる、じゃ。精神的にも成長したのぉ」
「28本打ってはしゃぎよった3年前と、えらい違いじゃ。大人になったの」