もっと地方でもアニメを放送しろよヽ(`Д´)ノ 3
巨人に快勝し開幕2連勝した広島。
ラロッカが故障で試合に出られないことが分かった第3戦の試合前、
山本浩二は新井に「今夜、出るぞ」と告げた。
新井はもはや迷っている場合ではないことを察した。
『なにがなんでも、結果を出さにゃならん』
取り出した錠剤を、半ばやけくそ気味に水無しで飲み込んだ。
心なしか気分がいいようだ。神経の高まりを感じる。いい感じで試合に入れた。
巨人の先発は久保だった。
初回、いきなりチャンスで打席に立った新井は、久保の球筋を見た。
『よく見える。よく見えるぞ!』
2球見たあとカウント1−1の3球目。直球をフルスイングした打球は、糸を引くようにスタンドへと消えていった。
スタジアムは大歓声に包まれた。
『打てた!ホンマに打てたぞ!』
新井は全力疾走でダイヤモンドを駆け抜けた。
しかし試合は広島先発の大竹が打ち込まれ、巨人1点リードで迎えた8回。
ランナーを一人置いて、新井に打席が回ってきた。
マウンドにはシコースキー。
新井はまた2球、球筋を見た。
よく見える。
3球目、待っていた直球が来た。
やや高めだったが、フルスイングした打球は、スタンドに吸い込まれた。
広島、再度逆転となるツーランホームラン。
大歓声の中、新井は思わず雄たけびを上げた。
ダイヤモンドを一周する足が、あるで自分の足でないかのように思えるほどに夢見心地であった。