眉子は、イスに腰と首をベルトで固定された。さらに肘掛けに手首をつながれた。右手の甲には釘が打ち込まれた。残っている3本の指先にも打ち付けられた。
眉子は、少しでも動くと腹部に激痛が走るので、身悶えることもできない。
メスを手にした章一の顔には、薄ら笑いがうかんでいる
「人間の手というのは、精密機械のようなもので、解剖するといろいろ勉強になる。よくみているんだな」
章一は眉子の指の皮を剥がし始めた。
「い、いたーっ、剥がすのなら、一気に剥がして下さい。お願い」
眉子がいくら哀願してもゆっくり、ゆっくり剥がしている。血にまみれたピンク色の肉が露出する。
「くーっ、いたいっ、いたいよー」
「まだ、剥がし始めたばかりじゃないか」
皮膚は肉が傷つかないように慎重にめくられていった。
皮剥は、拷問の中で、もっとも痛い。爪が剥がれるのが痛いのも、皮膚の一部だからにすぎない。痛点が多い皮膚の方が、痛いのだ。
たまらず、体をよじると、窒が裂けるのではないかと思うほどの痛みが下腹部を襲った。
舌を噛みきって死んでしまえたらどんなに楽だろうと、眉子は何度思ったことか。だが、家族のことを思うとそれすらできない。