「お、終わりました」
と眉子が言うと
「ごめんなさい。数えているの忘れたわ。もう一度やりなおしね」
と亜紀はアッケラカンと言った。
普通なら苦痛が麻痺し、機械のように足ふみをつづけられるのだが、眉子はオピオイド拮抗薬を投与されているので、容易なことではない。
だが、言うことを聞かなければ家族の命が危ないのだ。眉子の愛が打ち勝ち、あと100回の足ふみをこなした。
「お、終わりですね」
眉子は、フラフラと床にへたりこんだ。
「まだよ、さあ、立ちなさい」
眉子の前に真っ赤に焼けた鉄板がおかれてた。しかも鉄板には、無数のスパイクが突き出ていた。
「こんどは、血止めだ。この上にのりな」
章一はそういうと、眉子を抱え上げ鉄板の上に上げた。
「ぎゃああああぁぁぁぁっ」
肉の焼ける香ばしい臭いがあたりを包んだ。
「乙女の塩焼きだ」
眉子は暴れるが、章一ががっしりと押さえつけ離さない。足の裏の肉は鉄板の上でジュージューと音を立て焼かれていった。
「これで逃げようなんて気は無くなるわね」
亜紀はケラケラと笑い声をあげた。
眉子は目を開いたまま失神した。
章一は、眉子の胸に耳を押し当てると、
「まだ、微かだが心臓は動いているな」と言った。