【なるせ】楽画喜堂をオチするスレ41【AA・RA】
「起立、気をつけ、礼」
……放課後になった。
さて、これからどうしよう?
朝に聞いたあの会長の助言について、僕は結局考えをまとめきれなかった。
と言うよりも……ある一つの結論に達したって意味では考えはまとまった、と言うべきかもしれない。
それは『実は会長って当たり障りの無い事しか言ってないんじゃ……』という疑問に近い結論……
当然、今後の僕がどうするかは何一つわからないまま。
会長の言っている事は確かに的を得てるとは思った、けどその助言はどんな人にでも通用するような気がする。
僕が悪い面もある、よく考えたら僕は会長に今の状況を話した覚えは無い。
そんな中でああも的確なアドバイスを言える会長は大物だとも思う。
だけどやっぱり僕の現状を打破するには不十分だっただけだ。
さて、これからどうしよう?
昨日までの僕は黒崎先輩とも最上とも一度縁を切ってそれからゆっくりと一人で考える、と決めていた。
けれどさっきの会長の言葉『目標は一つでも手段は無数』と聞いた事で迷いが生じてしまった。
本当にこれで良いのかな?と考えてしまった。
そういう意味では、会長の助言は的確で逆効果な物だったと言えるかもしれない。
……会長が悪い訳じゃ無いけどね。
さて、これからどうしよう?
僕にはもう時間が無い。
後数分、もしかしたら後数秒もしたら……
「倉田君、一緒に帰ろう」
……こんな風に最上が参上してくるから。
「また難しい顔してる。駄目だよ、人生は楽しまなくちゃ」
しかたないか……続きは家に帰ってから考えよう。
「ああ、ごめん。じゃあ帰ろうか」
無理矢理笑顔を作る。
あんまり最上に嫌な顔は見せたくない、これはきっと僕のエゴなんだと思う。
ガララララッ
二人で教室を出る。
最初の頃は周りから怪異の視線を感じたものだけど、今はもうそうでもない。
最近では僕が最上に乗り換えただとか、最上が僕に色目を使っただとか思われてるらしい。
僕はそれに対して……否定も肯定もできなかった。
「それで、今日はどこに行こっか?」
「最上にまかせるよ」
二人でデートのような寄り道に……いや、寄り道のようなデートに行くのも日常の一部になってきた。
「だったら今日は神社に行かない?天秤神社。この間大きな狐が……」
……がぁんっ!
「最上……前見て歩きな」
こうやって最上のドジを見るのも日常の一部になったとも思う。
少し前までは何事もそつ無くこなす事で有名だったんだけど、今ではもうドジで通ってしまってるらしい。
けどそれで最上に失望した人は全体のごく一部で、残りの大半はむしろ好意的に見てくれるようになった。
僕は昔の最上を知ってるから、ちょっと前の最上がなんだか無理してるような気がしていた。
だから今の最上はとても自然に感じてる。
「……由江が言ってたんだけどね……真理ちゃんって呼びかけながら魚肉ソーセージをあげると喜ぶんだって……」
看板にぶつけて赤くなった額を押さえながら涙目になる最上。
ああ、なんだ……会長の助言なんて関係無いじゃないか。
僕はただ単に、今の最上を最高に可愛いと思ってるだけなんだ。