――明日は三者面談ですから忘れないように親御さんに伝えておいてね
「サンシャメンダン…って…何?」
「三者面談知らないの?」
「三者面談って言うのはご両親と先生と私たちで学校の事とか
進路の事とかについて話し合う事よ」
「ご両親…」
「くだらない」
プリキュアの強さのヒミツを探るべく、咲と舞の通う学校に
まんまと潜入を果たしたダークフォールの薫と満
子供の姿をしたふたりだけれども、ダークフォールじゃちょっと名の知れた怖いふたり
アクダイカーン様ですらふたりの行動は束縛できない
そんな怖い怖いふたりだけれども、人間の世界の事って判らない事だらけでタイヘン
「サンシャメンダン…まずい事になったわね!?」
「何が?」
「ご両親を呼べって言われたじゃない」
「それで?」
「それでって…私達に親なんていないじゃない…」
「それがどうかしたの?」
「薫…」
ため息ひとつ――頭脳労働はもっぱら私、満の担当…
これ以上薫に相談しても仕方が無い――と、諦めて…
――明日の三者面談をどう切り抜けたら良いのか?
…必死に頭を捻る満であった
「薫殿!みちる殿!早く泉に戻られたら如何ですかな!?」
薫と満の背後の地面から音も無くゆらゆらと影が揺らめきやがてその影は形を成して
一人の怪人の姿となって現れた
「ゴーヤーン!」
「まったくアクダイカーン様は何故か薫殿にみちる殿には甘いがこの私は違いますゾ!」
――煩い奴が来たな…否…丁度良いところに来た…と言うべきかしら?
「ゴォ〜ヤァ〜ン、お願いがあるの、オ・ネ・ガ・イ!」
ふうう…三者面談の次は…転校してきた霧生さんね…
西日差す放課後の教室で三者面談最後の生徒、霧生満と薫を迎えようと廊下に
向かって声をかけた
「それでは次の方、霧生さん、お入りください」
――ガラガラ…
「はじ…はじめまして、薫とみちるがお世話になっております
母親の霧生…ゴヤ子…です…」
「ぎゃっ!」
突然目の前に現れたちっちゃいおっさん?
いや…高島田に結った古風な日本髪に真っ赤な紅を大きな口の先にチョコンとつけた
――霧生さんの…お母様?
「何か?」
「いいえ…何でも…ただ…」
「何か?」
「いいえ…本当に…その…あの…あまり似てらっしゃらないものですから…」
「やはりそうですか!私も無理があるとふたりには言ったのですが…痛ッ!
みちる殿!おしりを抓らないで…いえいえ、コッチの話で…それよりも
薫殿にみちる殿はしっかりやっておりますかな?」
「あ、はい…勉強は…良くお出来になるのですが…ちょっと協調性に欠けるというか…
エヘン!一言で言って友達を作ろうとしないんですくどくどくど………
くどくどくどくどくど………」
「薫殿、みちる殿!早く泉に戻られ…」
――昨日は酷い目にあった、しかし!ふたりの母親役を演じる事を条件に
泉に戻っていただく約束!今日こそは連れ戻さなくては…!
と勢い込んでやってきたゴーヤーンの目の前に突き出された一葉の写真…!!
――コレは!何時の間に!昨日の三者面談の写真!
「ハァイ!ゴーヤーン、昨日はご苦労さん、カツラ姿も似合ってたわよ」
「コレ焼き増しでもして皆に配ろうかしら?」
「ちょっ!そんな事されたら私の威厳というものが…」
「だったら取引よ、写真と引き換えにもう私たちに煩い事言わないって」
「くっ…騙された!」
「騙したなんて嫌な言い方!私たちは自由でいたいだけ!判った?じゃあねー!」
「…という訳でして…満殿に薫殿にしてやられまして
連れ戻せなかったのです…この上はアクダイカーン様に
直接言っていただくしか他ありませぬ」
「むううう…薫に満…まァ…好きにさせておけ…」
「ふううむ…?なぜアクダイカーン様とあろうものが薫殿に満殿には甘いのか…
まさか…アクダイカーン様も何か弱みを…!?まさかまさかまさか?」
おしまい