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剣道馬鹿:
人類は月への居住計画を進めていた。40年の歳月をかけて完成した月基地の存在は人類の栄達を如実に物語っていた。秋分の日を間近に控えたある日。
月基地の「お披露目」を世界同時中継するというアナウンスが各地に広まった。なんでもとっておきの「発表」があるらしい。人類は放送が予定されている「秋分の日」を指折り待ち続けた。
そして運命の日。人類100億世帯のお茶の間に映ったのは、見慣れぬシルエットの群集だった。
プロジェクト「国民の用心棒」の主幹を成す存在だという「ミーナシリーズ」。月のクレーターの数だけ量産された自衛型アンドロイドである。
人々は驚愕した。彼女たちは、まるでロボットとは思えないほど人間にそっくりだったのだ。