BSアニメ夜話　第9夜

>>461->>481
押井ルパン……、頓挫したことを知ったときはそりゃもう大ショックだった。
ありえない！としか思えなかったな。だってこんなのが観れたはずだったん
だぜ！

>「ルパン三世FILES（キネ旬）」より
　ルパンって果たして何者だったのかということをルパン自身に問わせてみた
い。ルパンが何を盗むのか。あくまで動機なんですけど、化石なんです、それ
も天使の化石。言葉で思いついた発想が「虚構を盗ませる」ということなんで
す。
　全部が虚構で全部がどんでん返しで、確かなものなんか何もないという話。
世の中に唯一確かなものがあるとすれば、それは当時で言えば「核」だった。
それを活劇の枠の中に入れようという、当時の僕としては最大限の企画だった
んですよ。
　もしかしたらルパンは最初からいなかったんじゃないか、ということの結論
が得られれば、最終的にルパンにとどめを刺せると思ったんです。

>>484
　建築や都市環境の細部を美術設定として克明に再現することで新たなアニメ
の表現を獲得すること、この一点のみでした。主要な舞台となるのは目頭で墜
死する建築家が東京のド真中に建てた奇怪な塔で、これは古今東西の様式をゴ
タマゼにした、現代のバベルの塔になる予定でした。
　物語の中心にこんな超ゲテモノを据えた関係上、その周辺には徹底して実証
的なディテールを配置してバランスをとるつもりでした。登場人物たちの暗闘
は全てコンビニ、コインランドリー、銭湯、下水道、等の都市特有の環境を舞
台に繰り広げられ、クライマックスは一週間かけて攻略する塔の内部空間で─
という予定でした。日常の中の異界と異空間の中の日常、虚構と現実（！）
の交錯する展開を乗り越えた主人公が塔の頂きで見い出したオタカラとは─
まあ、今となってはやれる気もしないしやる気もないんでバラしちゃいますけ
ど、存在する筈のない天使と、存在してはならないプルトニウムが二つながら
に存在していて、ルパンは生涯にただ一度のミスを犯して巨大な核分裂装置た
る塔を発動させてしまう、愚かなりルパン東京全滅、というお話だったんです
けどね。